かんぽ生命不適切販売の後の処分と今後について、日本郵政の新社長増田寛也氏は不適切販売にかかわった人の処分と今後の収益源についてM&Aを収益の柱にすると述べました。全国2万4000の旧特定郵便局には手を付けないと明言している日本郵政は今後確かな収益の柱を金融以外で確立できるでしょうか。
目次
かんぽ生命不適切販売の後の処分
かんぽ生命の不適切販売の処分について不正を働いた販売員に加え、上司の管理職も対象にする考えを示しました。
かんぽ生命の不適切販売の問題では、社内規定に違反した販売員に対する資格停止などの処分を始めているが、「トカゲのしっぽ切り」という現場からの不満の声があがっています。
それを受け増田社長は「中間層も不正への関わり方に応じて必要なペナルティーを科すことが大事」と述べました。
また、前総務次官による行政処分情報の漏洩問題に関しては「社内調査を始めつつある」とのべました。
この問題は、昨年暮れ、総務省事務次官による行政処分情報の漏洩問題で日本郵政の鈴木康雄前上級副社長に漏洩した問題です。
かんぽ生命不適切販売の後の処分と今後の収益の柱
かんぽ生命不適切販売の原因の一つが、かんぽ生命や投資信託などの無理な営業目標にありました。
そして従来はこれらの金融商品の売り上げで、全国2万4千の郵便局網を支えてきました。
今後は、営業目標の在り方を見直し新しい収益源として、日本郵政ではM&A(合併・買収)を含めた投資を行うことで収益の柱にしていく方針を述べました。
全国2万4千の郵便局網については、全国2万4千の郵便局網については現状を維持することを明言し早期の統廃合を否定しました。
かつて私は「かんぽ生命の不適切な販売が起きた原因は何だったか?過剰ノルマの背景とは」という記事を書きました。
そこにも、かんぽ生命の不適切な販売が起きた原因を生んだのは過剰ノルマで、その背景であるのが「郵便局ネットワーク」つまり全国2万4千の郵便局網にあるということを書きました。
全国に2万4千局ある旧特定郵便局で既得権でもあり日本有数の圧力団体になっています。
この、全国に2万4千局ある旧特定郵便局が日本郵政の財政を圧迫しています。
ある郵便局では「お客が一日数人の局を3人で営業している」事実もあります。
日本は、少子高齢化が進み、銀行信用金庫などは支店の数をこの20年で5~9%も減らしています。
ですが全国2万4千局の郵便ネットワークはほぼ減っていません。
こんな実態があっても、今回もこの全国に2万4千局ある旧特定郵便局で既得権には手が付けられないようです。
日本郵政の今後の新しい収益の柱M&A(合併・買収)は成功するか
従来は赤字の「郵便局ネットワーク」を保険事業で補填してきたわけですが、保険事業の過剰ノルマを見直せば必然的に収益は落ちます。
そこで時期戦略として挙がったのがM&A(合併・買収)を含む投資です。
以下引用です。
--収益面でも不動産事業が金融、物流に次ぐ柱になり得るのか
「M&A(企業の合併・統合)も含めて投資などについて前向きに考えており、大きな柱に育てていく。日本郵便では金融2社からの手数料収入が柱だが、事業の多角化は常に考えなければならない。不動産分野は、その中で明らかに多くの良い物件を持っているから期待しているし、そこでの展開をこれからもっと進めていきたい」
--M&Aを推進するのは不動産のみか
「不動産以外でも考えいる。実際、いろいろ話が持ち込まれている。だが、平成27年に買収した豪州の物流大手トールホールディングスでは巨額の減損損失を出したこともあり、社内の人材だけでやるには十分ではないと思う。新しい経営陣の下、精査して対応していきたい」
--郵便局ネットワークを維持するために、金融2社に負荷がかかっている構造問題にどう対処するか
「ネットワークは現時点では現状を維持するというのが考え方だ。だが、将来、人口減少が進めば、ネットワークの在り方は大きく変わってくる。現状維持でも提供されるサービスは常に見直しをして変えていかないと、郵便局自身が支持されない。地域でのマーケティングについての情報は郵便局が一番持っている。われわれ目線でサービス考えるのではなく、お客さまが一番欲するサービスを提供していかないと、そこに郵便局がある意味がない」
引用先:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200211-00000511-san-bus_all
ここで、真っ先に考えてしまうのが、日本郵政は資金力はありますが、投資の専門家集団ではありません。
外部から投資の専門家を引き抜くのでしょうか?
M&A(企業の合併・統合)も含めて投資はかなり高度な投資手腕が要求されます。
ここでふと脳裏をよぎったのが、かつて農協の貯金金融上部組織日本農林中金が「住専問題」です。
この時は、大損失を出し結局税金で補填されました。
つまり私たち国民が穴埋めしました。
この時の農協(日本農林中金)の言い訳が「私たちは、金融の専門家ではありませんので仕方がありません」でした。
日本郵政は民営化されましたがまだ国が株式を保有しています。
また、農協の二の舞にならないように祈るばかりです。
ですが、いったいいつまで全国に2万4千局ある旧特定郵便局の既得権を維持するつもりでしょうか?
ここの改革に踏み出さない限りは日本郵政の歪んでいる経営は、まっすぐには戻らない気がします。
まとめ
以上今回は「かんぽ生命不適切販売の後の処分と今後」というテーマで、かんぽ生命不適切販売の処分内容と、日本郵政の今後の収益元の話題でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
なお、かんぽ生命不適切販売については関連記事をご覧ください。
「かんぽ生命の不適切な販売の内容をわかりやすくまとめると、見えてくる問題点」