トランプ米大統領は28日、イスラエルとパレスチナの中東和平案を発表しました。一定の条件を伴うパレスチナに独立国家の建設を認める内容のものでトランプ大統領は、「これが最後の機会になるかもしれない」とも言い添えています。このトランプ大統領の和平案に対しパレスチナのアッパス議長は、即座に受け入れ拒否を表明。「謀略」と和平案を考え「千回もノーという」と強く否定しました。今回のトランプ大統領の和平案を、パレスチナのアッパス議長がなぜ「謀略」と考えたのでしょう。
目次
パレスチナのアッパス議長が「謀略」と考えたトランプ大統領の和平案とは
パレスチナのアッパス議長が「謀略」と考えたトランプ大統領の和平案はどんな内容でしょうか。
それは、条件付きでパレスチナの独立国家樹立を認めるもので、テロ活動の停止など一定の条件のもとで、パレスチナに東エルサレムを含む独立国家の建設を認めるという内容です。
一方、条件として、パレスチナのガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスなどに
よるテロ活動の停止。
また、ヨルダン川西岸の入植地問題については、ユダヤ人入植地でのイスラエルの主権容認
し、イスラエルには4年間ヨルダン川西岸での入植活動を停止を求めたのが主な内容です。
パレスチナのアッパス議長がトランプ大統領の和平案を「謀略」と考えた背景
まず今回のパレスチナのアッパス議長がトランプ大統領の和平案に対し即座に「謀略」といい拒否を表明しました。
なぜでしょうか?
それは、パレスチナの国家独立を認める代わりの条件にあります。
そして、それ以前に今回の和平の背景として、パレスチナ側にとっては、トランプ大統領は
信頼関係を失っています。
そして、今回のトランプ大統領の和平案を発表する隣には、イスラエルのネタニヤフ首相も同席しています。
パレスチナにとってネタニヤフ首相と言えばもはやアラファト議長存命の時代から
強硬姿勢で、パレスチナ難民を追い詰めてきた当事者です。
そして、ヨルダン川西岸での入植活動を推進した張本人です。この2名が同席して、その場で和平案をだされても、パレスチナ側にとっては警戒をいだきます。
実際、和平内容も、パレスチナ側に「もうあきらめなさい」と言わんばかりの内容です。
そして、「これが最後の機会」というトランプ大統領言葉も脅しにも聞こえます。
パレスチナのアッパス議長がトランプ大統領に「謀略」というほど不審を抱く理由
パレスチナのアッパス議長がトランプ大統領に「謀略」というほど不審を抱く理由は
トランプ大統領が就任以来行ってきた、イスラエル寄りの政策にあります。
トランプ大統領は二つの大きな決定をしています。
まず、世界中が唖然としたのが、エルサレムをイスラエルの首都と認めたことです。
これだけは、アメリカ歴代大統領もやらなかった事です。
その理由は、エルサレムは、世界の三大宗キリスト教、イスラム教、ユダヤ教徒にとっての
聖地です。
このトランプ大統領の、エルサレムをイスラエルの首都としての容認に対しては、同盟国のイギリスもそして、他のヨーロッパ主要国のフランス、ドイツなど皆、懸念を表明しました。
賛成する国はありませんでした。
そしてもう一つが2019年11月にアメリカ政府は、、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイ
スラエル政府が建設してきた入植地について、国際法違反とみなさないと発表しました。
これもアメリカが国家として方針転換したわけです。
もっと言えば、国際社会も国連もイスラエルのパレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイ
スラエル政府が建設してきた入植地について国際法違反として反対してきました。
このトランプ大統領のエルサレムをイスラエルの首都と認めたことで、パレスチナは、パレスチナ解放機構(PLO)の交渉担当者サエブ・エレカット氏は、アメリカの決定を「世界の安定と安全、平和」を危険にさらすものと批判しています。
国際法を「ジャングル法」に変えてしまう恐れがあると述べました。
そして、今回のテーマには、直接関係がありませんが、イランに対する核合意破棄など
中東を混乱させる政策をやってきました。
アメリカ歴代大統領のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイスラエル政府が建設してきた入植地に対する政策
アメリカ歴代大統領のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイスラエル政府が建設してきた入植地に対する政策はどうだったかといいますと、アメリカは1978年、ジミー・カーター政権で、イスラエルの入植地建設は国際法違反と結論づけています。
一方1981年には、ロナルド・レーガン大統領がこの結論に不同意を表明しました。
入植地が固有の違法性をもつとは思わないと述べています。
以来、アメリカは入植地を「違法」ではなく「非合法」と表現してきました。
さらに、国連でイスラエルが非難されるのをかばってきた。
そしてこの後、歴史的変化がおきます。2016年に、バラク・オバマ政権は国連において従来のアメリカの立場を大きく変え、イスラエルに違法な入植を終わらせるよう要求する決議案の採択で、拒否権を発動しませんでした。
パレスチナのアッパス議長がなぜ「謀略」と和平案を考えたか
パレスチナのアッパス議長がなぜ「謀略」と和平案を考えたかです。
それはパレスチナに独立国家の建設を認める代わりに出された条件にあります。
まず、絶対にのめないのは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイスラエル政府が建設
してきた入植地を認めることです。
そして、もう一つ聖地エルサレムをイスラエルのものと認めることです。
パレスチナの人たちは、今まで近隣の多くの同じイスラム教徒の人たちから生活面で
支援を受けてきました。
この聖地エルサレムをイスラエルのものと認めここにイスラエルの首都を置かせることは、全イスラム教徒を裏切りことになります。
だから、パレスチナの答えは発表まえから決まっています。
実際トランプ大統領の和平案に対し、「謀略」「我々は、イスラエルの占領が終わ
るまで戦い続ける」と意思を表しています。
では、今回の和平案はどんな意味があったかというと、トランプ大統領の選挙アピールでしょう。
この後情報戦で拒否したパレスチナ側に理がないことをアピールするんでしょう。
一方、万が一受け入れられれば、イラン包囲網の強化につながります。
どちらに転んでも、アメリカにとっては得だと判断したんでしょう。
パレスチナ、イスラエル問題をパレスチナの視点で見るとこうなる。
今回のトランプ大統領の和平案では、双方合意すれば最終的な聖地エルサレムの地位や、国境線の画定などの具体策を詰めることになるとみられます。
これとは別に、トランプ政権は10年間で500億ドル(約5兆4500億円)以上のパレスチナへの投資をめざす経済支援策も打ち出しています。
トランプ氏は「パレスチナにとっても最後のチャンスだ」とし、パレスチナに交渉テーブルに着くよう求めています。
ホワイトハウスが発表した文書では「和平案への単なる反対は、展望なき現状維持を宣言することになる」と明記し、交渉に反対姿勢を示すパレスチナをけん制しています。
ですが、投資と言っても、必ず見返りを伴う投資です。
もし、返済の見込みのない投資を受ければ、形の上でパレスチナが独立国家の形をとっても経済的にアメリカの支配におかれます。
そして、金を出す以外にイスラエル側は何を譲ったんでしょう。実質何も譲ってません。
トランプ大統領の言うお互い「ウィンウィン」は、この金だけをいいます。
ですが、イスラム教徒は、金では転びません。
ここで、パレスチナ、イスラエル紛争をパレスチナの側の視点で見てみます。
中東のパレスチナ地方に、イスラム教を信じ何千年もそこで平和に暮らしている人々が
いました。
この人々は、他国に迷惑などかけたこともありません。
神をあがめ敬い生きてきました。
ところが、ある日突然、武器を持ったユダヤ教徒の西洋人がやって来て、ここは2000年前
俺たちの土地だったから出ていってくれといって追い出されました。
中東のこの地に2000年前、青い目の西洋人などいなかったハズですが。後でわかったのですが、ユーラシア大陸にあったカザール帝国のユダヤ教徒の流れを持ちアシュケナジーユダヤ人という人たちが主でした。
その人たちが突然にやってきて出ていけと銃で追い払ってきました。
そして、その日から、パアレスちな人は家の無い難民になり、悲惨な生活を強いられることになります。
長い長い歳月を難民として暮らします。
何度も「返してくれ私たちの土地と家を」と交渉しても返してくれません。
そして、ある時から、さらに、パレスチナ人は場所を追いやられ、目の前では、近代的
住宅が、イスラエル人の手で建てられていきます。
返すどころか、さらに奪った土地に、家をたててしまっています。
どんどん日を追うごとに自分たちの使っていた土地に家が建ちます。
それが、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイスラエル政府が建設してきた入植地の事です。
1967年の第3次中東戦争後、入植地を建設して現在、約140の入植地があり、計約60万人のユダヤ人が居住しています。
それを、今、急に認めろと言ってきました。
なかなか、無理があると思います。
歴史を戻せば、イスラエルがパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で入植地を建設してしまったとき、もはや取り返しのつかない選択をしてしまったにかもしれません。
今回は、「パレスチナのアッパス議長がなぜ「謀略」と和平案を考えたか!」をテーマに
今回のトランプ大統領の和平案がいかに無理な内容かを、できるだけわかりやすくまとめてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。