政府は、デジタル市場競争会議で、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業に対する規制強化策の5項目をとりまとめました。透明性を高めるため巨大IT企業に取引状況の定期報告を義務付け、場合によっては公表する制度が織り込まれ、早くも経済界ではこの規制に対し反発の様相です。また、独占禁止法による取り締まりを強化するための指針も提示しています。この巨大ITを規制する新法の実施時期はいつからか。詳細を書きました。
目次
巨大ITとは、どの企業をさすのか
政府が規制の対象としは具体的には、グーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの「GAFA」と呼ばれる米4社です。
さらに、日本の楽天、ヤフーなど、スマートフォンのアプリ市場やインターネット通販などプラットフォーム(サービス基盤)を運営する巨大IT企業をて念頭に置いています。
巨大IT企業の要件としては、「消費者の生活に欠かせず売上高などが一定以上の企業を特定デジタルプラットフォームとして、今後具体的に範囲を決めていきます。
ただ当面は、通販サイトとアプリストアを手掛ける大規模なプラットフォーム企業
だけが対象になります。そして、順次政令等で範囲を拡大していく予定です。
巨大ITの規制する新法とはどんな内容か
対象になった巨大IT企業は、サイト運営の透明化が求められます。
規約変更の内容などを出店者に、事前に説明する義務が求められます。
そして、消費者が商品を検索した際の表示順を決める要素やデータの取得範囲については出店者だけでなく、すべての利用者に開示を義務として求められます。
もし情報開示をしない場合、企業名を公表して是正を勧告したり、改善を求める命令を出したりできるようにします。
この、巨大ITの規制する新法の目的として、取引先の中小・個人事業者が、巨大IT企業に不利益を被ることを防止する狙いがあります。
また、個人データを保護するための個人情報保護法の改正案も了承しました。
消費者が個人データの利用停止を求めた場合、企業に応じるよう義務づける内容で、海外企業にも適用できるようにします。
対象となる巨大IT企業は、年度ごとの定期的な報告を経産相に提出して、評価を受ける義務があり、問題があれば経産省が勧告や命令を出すことができます。
巨大ITの規制に独占禁止法の適用も可能にします。
巨大ITの規制の新法では、経済産業省が所管し、データ流通に関しては、総務省も併せて管理します。
そして、独占禁止法の恐れがある行為が発覚した場合、公正取引委員会が調査し、取り締まります。
強い立場を利用して相手に不利な取引を強いる「優越的地位の乱用」について、企業間だけでなく、消費者との間にも適用できるようにしたほか、巨大IT企業による企業の合併・買収(M&A)を慎重に評価するための新基準も設けています。
また、今回は見送られましたが、公正取引委員会は、2019年の調査で、サイト内の顧客データを使って自社製品を有利に販売できるような行為が独占禁止法違反にあたる可能性を整理していました。
今後こうした観点からの取り締まりも想定できるでしょう。
巨大ITの規制で反発の声が早くも経済界にあがる
対象となる巨大IT企業は、年度ごとの定期的な報告を経産相に提出しなければならなくなります。
そして、国の評価を受ける義務があります。
この制度は外国にはない制度で規制の強化を懸念する経済界の声があがっています。
また、巨大IT企業の定期報告を国が評価するときの評価基準があいまいで裁量行政に
なる懸念も指摘されるでしょう。
そして、政府にもデジタルITの高い知見が今後求められそうです。
国の過度の細かい規制は、イノベーションの足かせになる弊害も懸念されます。
また、デジタル分野は進歩がはげしく、法律で禁止行為を作れば、それを、する抜けるサービスが登場し、かえって、取引先や消費者に不利益な状態を放置することにもなります。
今回の会議でも、新法は、あまり法律で禁止事項を決めずに、柔軟に対応できる形の法律を目指しています。
さらに、今年から来年にかけて、具体化がされていく予定です。
巨大ITの規制を行う新法は実施時期はいつからか
巨大ITの規制で新法は実施時期はいつからかといいますと、 政府は法案を来年の通常国会に提出する方針としています。
来年の通常国会でもしこの巨大ITの規制を行う新法が可決されれば、再来年2022年春からの施行が最短では考えられます。
また、今後の予定では、ネット上のデジタル広告を対象とした実態調査の中間報告
を来春に行う方針も示しています。
今回は、「巨大ITの規制で反発の声が早くも経済界にあがる。実施時期はいつか?」
というテーマで、再来年施行をめどに制定されようとしている「巨大ITを規制する新法」
についてまとめてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。