パキスタンでバッタ大量発生しました。過去30年で最悪の作物被害になりそうです。特に農業の中心地で作物が壊滅的な打撃を受け、食料価格の急騰を招いています。このバッタ大量発生の原因として指摘されているのがインド洋の「ダイポールモード現象」です。この「ダイポールモード現象」が原因で、オーストリア山火事、日本の暖冬の原因になっているという研究発表があります。
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パキスタンでバッタ大量発生
パキスタンでバッタが大量発生し、国内の農業地帯では過去30年間近くで最悪の被害が出ています。
国連(UN)は、アラビア半島を昨年襲った豪雨とサイクロンが「前例のない」バッタの繁殖を促したと指摘しています。
このバッタの大群は、東アフリカからインドにかけて広がり農地に大きな被害をもたらした後、イランを通ってパキスタン南西部の砂漠地帯からパキスタンへ侵入しました。
パキスタン政府は深刻な被害を受けて全土に緊急事態を宣言し、国際社会に緊急援助を要請しました。
キスタン南部シンド州では、換金作物である綿の壊滅的被害を予測。州都カラチ付近では全体の半分の作物が被害を受けています。
また当局が使用する殺虫剤は食べる上で危険なため、バッタを駆除しても残った農作物も廃棄しなければならないとしています。
パキスタンの農業は長い間干ばつや水源の縮小に直面してきた。経済は12年連続で高インフレ率にあえいでおり、過去1年間では砂糖の値段が2倍近く、小麦粉の値段は15%上昇した。
パキスタンでバッタ大量発生「ダイポールモード現象」説
パキスタンでバッタ大量発生の原因として「ダイポールモード現象」説が研究されています。
この、「ダイポールモード現象」が昨年最大級で発生し、オーストラリアの山火事、日本の暖冬の原因と考えられています。
昨年2019年より発生したオーストラリアの森林火災は、オーストラリアの全森林の2割は焼き尽くしました。
「ダイポールモード現象」とは、インド洋で発生するもので、大気と海洋が関わってインド洋西部の海水温度が上昇する自然現象のことです。
赤道付近のインド洋の東西の水温差によって、世界的に大規模な異常気象をもたらします。
インド洋の「エルニーニョ・ラニーニャ現象」ともいわれ、通常夏の終わりから秋にかけて数年に1回に頻度で発生します。
この現象は、赤道付近に一年を通して吹く東からの貿易風ね変化から始まります。この東風が何らかの影響で強まると、海面近くの温かい海水が西側に吹き寄せられる。
一方東側では、強風で海水面が冷やされます。
さらに、流された海面近くの水を補うように、深海から冷たい水が上昇してくることなどによって低温となります。
「ダイポールモード現象」で、東アフリカの豪雨、バッタの発生、食糧危機への影響
この「ダイポールモード現象」による水温差は、上空の大気に変調をもたらします。
高温となったインド洋の西側は、海面から蒸発が盛んになり対流活動が活発になります。
そのため、アフリカ東部のケニアなどで豪雨被害が起きます。
豪雨は、生物にも影響を与え大量のバッタが発生し、農作物を食い荒らして食糧危機の恐れも出てきます。
そして、2020年には、中国大陸でのバッタの大発生が懸念されています。
まとめ
今回は、「パキスタンでバッタ大量発生「ダイポールモード現象」による世界的異常気象」というテーマでお送りしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
なお、関連記事「オーストラリア山火事,日本の暖冬の原因は【ダイポールモード現象】説!」もご覧ください。