小池都知事の「学歴詐称」告発状が送られました。東京都の男性が、6月9日小池都知事の「学歴詐称」疑いの告発状を郵送。今後の動きを探ります。
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小池都知事の「学歴詐称」告発
6月9日、東京都の小池百合子知事がカイロ大を卒業したとするのは学歴詐称の疑いがあり、偽造有印私文書行使罪に当たる可能性があるとして、東京都の男性が9日、告発状を東京地検に郵送しました。
告発状の内容は、「小池氏は2016年6月、学歴詐称疑惑を扱ったテレビ番組用の資料として、偽造された卒業証書と卒業証明書を担当者に送った」としています。
都のホームページには、小池氏は1976年10月にカイロ大文学部社会学科を卒業したと記載されている。
さらに、2018年に学歴詐称を指摘する雑誌報道があった際、小池氏は記者会見で「卒業証書もあり、大学側も認めている」と反論している。
今回、都知事選をまえに、ノンフィクション作家石井妙子氏の【女帝 小池百合子】(文芸春秋)が出版された。
作家石井妙子氏は、これまでも、多くの著名人の人物評伝などを執筆し、多数のノンフィクション賞を受賞してきたことで知られている。
今回新刊で発売された【女帝 小池百合子】(文芸春秋)も3年半もの調査を重ね、ノンフィクションとしての位置づけで、小池氏の生い立ちから、虚言に塗り固められた「実像」を、多くの関係者の証言に基づいて詳細に明らかにしている。
そして、再び、今回の小池都知事の「学歴詐称」告発状が送られたように、「学歴詐称問題」が再燃しています。
小池都知事の「学歴詐称」告発状で今後の動き
先に紹介した、石井妙子氏の【女帝 小池百合子】(文芸春秋)が、小池氏の今までの出来事を調べ、視点としては、そのような人物を「首都東京の知事で、総理大臣をも狙う政治家」にしてしまった日本の社会の歪みを鮮やかに描いている。
7月の都知事選挙で確実視される小池氏再選に向けてのかなりのマイナスイメージになってくるほど衝撃的な内容です。
告発状で検察の動きは?
虚偽事項公表罪は「故意犯」になります。
本人が、当選を得るために虚偽の事実を公表することを認識して行わなければ犯罪は成立しません。
しかし、小池氏の場合、「カイロ大学卒業」は、政治家としての経歴として、自己アピールの核心としてきたものであり、それが真実であるかどうか認識しているはずです。
しかも、「学歴詐称」疑惑が再三にわたって取沙汰され、3月都議会でも、複数の自民党議員から追及を受けている。
学歴詐称疑惑が告発され、検察が動けば 過去には失職した議員もあります。
今回の場合のように「虚偽事項公表罪」で告発された場合検察は動くかどうかが気になります。
小池氏が都知事選挙で当選した後、虚偽事項公表罪で東京地検特捜部に告発された場合、「検察も都民に選挙で選ばれた都知事を、経歴詐称ぐらいのことでその座から引きずり下ろすことはしないだろう。何らかの理由を付けて不起訴にするだろう」との考えもあります。
実際、検察が、立件は難しいと考えたり、社会的影響を考え不起訴になった事件は山ほどあります。
今後検察が、都知事の政治的立場などに配慮することなく、検察捜査は、法と証拠に基づき厳正に調査をするかどうかにかかってきます。
もし、検察の調査が開始されれば、起訴に向けて全力で捜査するでしょう。
「東京地検特捜部」VS「小池百合子都知事」の対決が実現します。
都知事選の影響
都知事選直前に小池氏「学歴詐称」疑惑が、注目され、検察も動かざるを得ないほどの世論の高まりが今後起きた場合、小池氏の政治かとしての今後にも左右されてきます。
東京五輪の開催延期が決まった今年3月下旬になって、「ロックダウン」「オーバーシュート」等の言葉を用いて新型コロナ感染の危機感を煽る「小池劇場」にマスコミの注目を集中させ、人気が急上昇しています。
このままいけば、7月に予定される都知事選では、小池氏の圧勝が予想されていました。
そうした状況の中で、石井氏の著書では、カイロで同居していた女性の詳細な証言も含め、多くの根拠が示され、小池氏の華々しい経歴と地位の原点となった「カイロ大学卒業」の学歴が虚偽であることが明らかにされている。
石井妙子氏は、新刊の【女帝 小池百合子】でも「小池氏がカイロ大学を卒業していないことは絶対に間違いない。しかし、いつも上手く誤魔化して逃げてしまう」と確信を射ている。
さらに、黒木亮氏の緻密な取材による「学歴詐称」の指摘もあります。
さらに、作家の黒木亮氏が、5月29日に、【再燃する小池百合子の「学歴詐称」疑惑…首席も、卒業すらも嘘なのか】、翌 30日の【カイロ大学の深い闇…小池百合子が卒業証書を「出せない」理由】の各ネット記事(現代ビジネスオンライン)では、3月都議会での「学歴詐称疑惑」に関する小池氏の答弁の矛盾・混乱を取り上げ、カイロ大学を含むエジプトの国立大学では、以前から不正な卒業証書の発行が行われてきた実態を指摘しています。
小池氏は、これまで、自身の学歴詐称疑惑に関して、ほとんど説明らしい説明をせず、「卒業証書も卒業証明書もある。カイロ大学も卒業を認めている」と言い続けてきたが、卒業証明書と卒業証書の提出は頑なに拒否してきた。
今回、石井妙子氏と黒木亮氏という二人の実力作家の著述によって、「小池百合子氏にカイロ大学を正規に卒業した事実がないこと」の疑いはさらに確信に近くなっています。
学歴詐称が実証されれば、過去の虚偽事項公表罪の事例もあります。
処罰された事例として、1992年の参院選愛知選挙区で当選した新間正次議員(当時民社党)が、虚偽事項公表罪で起訴され、禁錮6月、執行猶予4年の判決が確定、失職したケースがある。
この事件で問題にされた「虚偽事項公表」は、(1)選挙公報等で、入学していない「明治大」を「中退」と公表した行為、(2)政談演説会において、約700名の聴衆に対し、その事実がないのに「中学生当時公費の留学生に選ばれ、スイスで半年間ボランティアの勉強をした」旨演説した行為の二つであったが、(2)については、名古屋高裁判決は、
この事件では、40年以上も前の留学歴についての発言も虚偽事項公表とされ、裁判所は「選挙人の公正な判断に影響を及ぼす可能性がある」と判断しているのである。
一方、2003年の衆議院議員選挙で、当時の自民党幹事長で現職副総裁の山崎拓氏を破り、衆議院議員に当選した古賀潤一郎氏は、その後、海外の大学卒業の「学歴詐称」の事実が判明したが、最終的には「起訴猶予」となり、処罰を免れています。
古賀氏については、「ペパーダイン大学卒業」としていた経歴が偽りではないかとの疑惑が浮上し、当初は「弁護士を通じて卒業証書を受け取ったが、紛失し、弁護士の名前も忘れた」などと弁明をしていたが、大学側が「古賀は卒業していない」と発表したことで窮地に追い込まれました。
その後、公選法違反(虚偽事項公表罪)で福岡県警に告発があり、福岡県警の捜査員や福岡地検の検事らが渡米し、米司法当局の大学関係者への事情聴取に立ち会うなどして、古賀氏が単位不足でペパーダイン大を卒業していなかったことを確認した。
古賀氏は、2004年9月24日に辞職願を出し、辞職が承認され、翌月、起訴猶予処分となっっています。
この事例で古賀氏が起訴猶予処分となったのは、議員辞職し、政界からの引退を表明したことが考慮されたのでした。
小池百合子知事の反撃
東京都の小池百合子知事は6月3日、都議会本会議の一般質疑で答弁に立ち、一部で、カイロ大を卒業しておらず、学歴詐称ではないかとの疑惑が報じられている問題について「経歴についてでございますが、カイロ大学の卒業証書については、これまでも公にしております」と説明した。自由を守る会、上田令子議員への答弁。
首席等の成績については「これまでも何度も公開をしてきたつもりである」とした。
その上で「担当教官から『あなたが1番だ』と褒めの言葉をいただいた」と語気を強めた。
さらに、小池氏のエジプト人脈が動いています。
エジプトのカイロ大学は6月8日、小池百合子東京都知事が「1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する」との声明を発表しました。
在日本エジプト大使館がフェイスブックで声明文を公開した。声明は、小池氏の卒業証書は「カイロ大学の正式な手続きにより発行された」と説明。
「日本のジャーナリスト」が信頼性に疑問を呈したことについて、「カイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉毀損(きそん)であり、看過することができない」と批判した。
そのうえで「エジプトの法令にのっとり、適切な対応策を講じることを検討している」と警告しています。
このエジプトの動きに速さは、小池氏の反撃のアクションがあったとみるのが自然です。
何らかの小池氏からエジプト人脈への働きかけがなければ、こんなに早いタイミングでカイロ大学は動かなかったでしょう。
まとめ
今回は「小池都知事の「学歴詐称」告発状で今後の動きどうなる?」というテーマでお送りしました。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。