2017年に 『専業主婦は2億円損をする』を出版し、大きな話題になりました。著者の橘玲さんは、2億円は控えめな数字で実は「専業主婦は3億円損をする」という主張をなさっています。今後「働き方改革」で「同一労働同一賃金」導入で女性の賃金はどう変わっていくでしょう。
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『専業主婦は2億円損をする』の2億円の根拠は何だったか
『専業主婦は2億円損をする』の2億円の根拠は何だったか、調べてみると
生涯賃金は学歴によって異なりますが、女性の場合、「高専・短大卒」で1億7630万円、「高校卒」で1億4830万円、「中学卒」で1億3970万円で、すべての専業主婦が「1億円以上損をする」ことになります。
「大学・大学院卒」の場合、男性は2億6980万円、女性は2億1590万円です。専業主婦になる(働かない)という選択はこの賃金を「捨てる」ことですから、「専業主婦は2億円損をする」のです。
つまり、橘玲さんは、『専業主婦は2億円損をする』は大卒女子の場合を前提に大卒女子の生涯賃金をもとに2億円損をするといっているわけです。
『専業主婦は2億円損をする』じゃなくて3億円損をする根拠は?
それでは、2億でなく3億円損をするという根拠は何でしょうか?
女子の賃金は、全女性の平均が1億2550万円で、「中学卒」は1億5520万円、「高校卒」は1億7800万円、大企業の「高専・短大卒」は2億840万円、大企業で働く「大学・大学院卒」の女性の生涯賃金は2億4840万円です。
ただし、ここでの賃金には大企業で働く大卒女性の生涯賃金は約2億5000万円ですが、ここには退職金が含まれていません。
最近では定年後も再雇用で65歳まで働くことがふつうになりましたが、それも計算に入っていません。これも加えると、専業主婦を選択することで失う富は3億円ちかくになるでしょう。
つまり、退職金プラス今後働き方改革の一環で「70歳定年制」の近い将来の導入も考えると、大卒女子と比べ、専業主婦は3億円の損をすることになるという理屈です。
2017年に 『専業主婦は2億円損をする』を出版した時の出版秘話
2年前に『専業主婦は2億円損をする』というタイトルを示されたとき本来、3億としたいところ2億に妥協させられたと橘玲は語っています。
「男なら3億円稼げるけど、女はどんなに頑張ってもせいぜい2億円」という固定観念が、世間にあることを危惧したのでしょう。
そこで、「これからは日本も男女平等の社会になるのだから、『専業主婦は3億円損をする』でいいじゃないですか」と提案したのですが、編集者から「それはいくらなんでも多すぎる」と反対され、しぶしぶ「2億円」で妥協しました。
そして、出版後も一億減らしたのに、「女がそんなに稼げるわけがない」との批判が
殺到したそうです。
この話を聞くと、
やはり、日本社会では女性は稼げないといイメージがあるのでしょうか?
それが根強い固定観念として社会に定着しているのかもしれません。
子育てが一段落してからの再就職でもあまり差額は埋まらない実態
ニッセイ基礎研究所(久我尚子主任研究員)の試算では、大卒女性が2度の出産を経て正社員として働き続けるとして、育休や時短を利用しても生涯所得は2億円を超えます。
ですが、第1子出産後に退職し、第2子の子育てが落ち着いてからパートで再就職した場合の生涯所得は6000万円にとどまってしまうそうです。
ゼロ(働かない)と6000万円(パートで働く)ではもちろん、大きなちがいですが、だからといって1億4000万円もの「損」を「仕方ない」と受け入れるひとがどれだけいるでしょうか。
そうですね、こう見ると、1億4000万円の差はあまりにも多き過ぎますね。
日本の会社では正社員と非正規は「身分」のちがいなので、同じように働いたとしてもかなりの差が出てしまうという日本型雇用の特徴がはっきり出ています。
働く女性は、今では出産で「非正規に落ちる」ことによって最大で1億円以上も損をすることにもなります。
結果日本でも女性の働き方が急速に「グローバルスタンダード」に近づいていて、出産や育児などで女性がいったん仕事を辞め、30代を中心に就業率が下がる「M字カーブ」だとされてきましたが、35~39歳の就業率は76.7%と20年前と比べて15.2%も上がっています。
働き方改革で「同一労働同一賃金」導入で女性はどう変わるか
女性管理職の比率も、日本は2016年時点で12.9%と、アメリカの43.8%、フランスの32.9%と比べてきわだって低く、上場企業3490社のうち女性役員のいない会社は60%を超えています。(日経新聞2019年7月30日朝刊)
「欧米から20~30年遅れている」と言われてきた所以です。
そして、今後は、「同一労働同一賃金」導入で男女の賃金格差がなくなってきます。
そうすれば、男性もイクメンをして、女性も、子育てで退社しないで、生涯年収で1億のマイナスを生じさせないで、働きつ続けることで、女性の中途退職が減り、女性の役員や管理職進出が進んでいくと思われます。
また、政府の「働き方改革」でも今後男女の格差なく昇進するような法整備を行っていき欧米に近いような女性の社会進出が促進されると思います。
今回の記事では、やはり、男女共働きのほうが、圧倒的に、家計内総収入は高くなることが
数字としてわかって、将来の生活設計をするうえで、大変重宝な情報でした。
今回は、橘玲さん著『専業主婦は2億円損をする』をもとに女性の働き方についてお送くりしました。