黒字リストラの拡大で、40歳以上の転職市場が拡大しています。大手人材派遣会社3社の41歳以上の転職紹介数が1万人を超えています。これは6年前の3倍に増加しています。
そして、年功序列や、終身雇用などの日本型雇用制度が転機を迎え「ギグワーカー」など新しい雇用形態が生まれています。そして中高年転職でも二極化の波が押し寄せています。
目次
黒字リストラで中高年の転職が活発化
2019年、41歳以上の転職紹介数が大手三社で初めて1万人を超えました。
2013年が、約3500人だったので6年間で3倍に増えました。
この数字が、黒字企業が業績好調を背景に、中高年対象に、退職金を上積みすることを条件にして、早期退職者をつのる、いわゆる「黒字リストラ」の拡大で急に退職後の転職が増加してきたわけです。
大企業での従来型の年功序列賃金では、50歳~54歳の平均給与が51万、45~49歳で、46万円と25歳~29歳の26万円の2倍にもなっていました。
そして、人口比でも、団塊ジュニア世代を抱える中高年世代の人口は2倍近い。その分企業もシビアなスタンスに立ちます。
そして、転職により、前よりも給料が減る場合が多いのも実情です。
黒字リストラの中高年転職で好条件の派遣も、2極化傾向。
黒字リストラの中高年転職でスキルを活かして好条件の派遣も増えています。
派遣社員の全体の平均時給は、3大都市圏では、約1600円ですが、法務、財務、施工管理など高いスキルの派遣は、3000円~6000円が中心です。
中には、時給1万円で、年収にすると1000万円にもなる場合もあります。
一般にスキルを持たない中高年が退職前の給与より下がってしまう中で、逆にスキルを持った転職組は待遇を上げる2極化傾向が表れています。
また働き方も、自分の都合のいい時間に単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」という新しい働き方も出現しました。これは「業務委託」という形で、企業と労働者の双方のニーズを満たす新しい雇用形態です。
黒字リストラ拡大で始まるデジタル人材獲得競争
今、企業が国際競争力を維持するためには、デジタル技術化を推進するためのデジタル技術のスキルを持つ人材を必要としています。
経済産業省の出した「2025年の壁」問題も企業にとっては大きな課題になっています。
そのためもあり、デジタル人材は今や、中高年の黒字リストラとは正反対に引っ張りだこ状態です。
企業は黒字リストラで浮いた人件費をデジタル人材の確保の資金として使います。
そのため優秀なデジタル人材の相場は、年齢にかかわらず高くなってきています。
例えば、NECでは、新入社員でも優秀な人材には年収1000万円以上払う制度があります。
デジタル人材は、企業のIT化を担う、例えばビッグデータ分析からデザイン、アプリ開発などのデジタルスキルのある人材で、今非常に企業から必要とされていますが、世代が高くなるほど少なくなります。
デジタル人材は、働き手の全労働市場の中で1割程度しかおらず、年代別では、
20代が16%、30代が12、5%、40代が6.5%と40代になると極端に減ります。
そして、デジタル人材は流動性が高く転職を繰り返す人も多い傾向があります。
転職の度にスキルアップして待遇を増している能力主義の世界が、真っ先にデジタル人材市場では、やって来ているようです。
今回は、「黒字リストラで中高年転職・派遣が増加、ここでも2極化現象の波」というテーマで、黒字リストラの対象になった中高年が転職している状況と、デジタル人材の市場についてまとめました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「黒字リストラ」関連記事もご覧ください⇒⇒⇒⇒⇒「黒字リストラ拡大の理由は、年功序列賃金体系崩壊と2025年の壁問題にある!」