新型コロナの感染拡大で派遣社員の雇用が危ぶまれています。2008年~2009年のリーマンショック時と比べ、今回の新型コロナ危機は、非製造業でも需要が急減していて、数十万人規模の雇用が失われる懸念が出てきました。
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派遣社員雇用数十万人減少可能性あり
今、派遣業界では多くの派遣社員が、雇止めを通告される「5月危機」がささやかれています。
派遣社員は、有期雇用が多く、4半期ごとの3か月更新が一般的です。
更新時には、契約期間の1か月前に通知する必要があります。
現在働いている派遣社員は、2月末に更新が決まった人が多く、5月末に更新タイミングの派遣社員は、10万人以上います。
現在、国内には、派遣社員は、140万人います。
そして、2004年の一般製造業の派遣が解禁されてから、日本における雇用の調整弁のような位置づけになってきました。
この、派遣社員に危機が訪れようとしています。
リーマン危機不況時の実態は
そして、リーマン危機の時は、1年間で約30万人の派遣雇用が失われました。
リーマン危機時は、世界販売が低迷する製造業に雇用不安が広がり、半年ほどの間隔をおいて流通業など内需型の産業にも影響が出ました。
ただこのリーマンショックの時は、非製造業が製造業の受け皿になった実情があります。
新型コロナ不況での予測(リーマンショックとの違い)
今回の新型コロナ不況とリーマンショックの時との違いについてみてみます。
今回の新型コロナ不況での予測では、まず、今回はインバウンド需要の急減でホテルや百貨店が打撃を受け、間を置かず製造業に影響が広がるなど状況は深刻です。
そしてさらに、リーマンショック時のような非製造業の受け皿も期待できません。
したがって、リーマン時を上回る雇用が失われる公算が大きいと予想されます。
派遣先の仕事がなくなり、契約が打ち切られても、派遣会社は、派遣社員に休業手当を支払い新たな職場を紹介する義務を負います。
ただ、現状新たな派遣先は新型コロナの影響で見つけにくく、人件費負担だけが大きくなるでしょう。
全国2万以上の派遣会社の多くが中小零細で、派遣先の雇止めが続出すれば、会社が立ち行かず、解雇も視野に入れざるを得なくなります。
派遣社員の将来性
2015年の派遣業法改正で、派遣労働者が同じ職場で働ける期間の上限が3年になりました。
派遣社員が同じ職場で3年を超えた場合は、派遣会社には、無期雇用に転換したり、派遣先に直接雇用を依頼したりすることが義務付けられています。
そして、この法律の立法趣旨どおりにはいかず、派遣社員の正社員化は進まず、有期雇用の上限期間に達する前に契約を打ち切ることが常態化しています。
結果的に、派遣社員がその職場にいたくても、いられなくなるという、派遣社員の首を絞める結果になってしまっています。
労働人口が、減少が続く日本では、非正規を含む人材を生産性の高い戦力に育てるのは大きな課題になっています。
派遣社員の働き甲斐と、しっかりした収入を確保するということが、派遣会社にも、派遣先企業にも今後求められます。
まとめ
今回は「派遣社員雇用数十万人減少可能性あり!新型コロナ不況で。」というテーマでお送りしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。