経済産業省の「DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」で指摘されているのが、「2025年の崖」という問題です。いま、その、「2025年の崖」が現実化する傾向が出ています。それは、最近の日本企業の「積極的IT投資」の遅れにより、日本の労働生産性が停滞している傾向が出てきています。労働生産性は、就業者がどれだけ効率的に仕事をしているかを表す指標です。
目次
日本の労働生産性が停滞
日本の労働生産性が停滞しています。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均を下回るだけでなく、その差も次第に広がっています。
品質を高めても値上げしにくいデフレの後遺症が残るほか、経済のデジタル化の遅れによって、さらに劣勢に立たされているとの指摘もあります。
労働生産性の意味と求め方
労働生産性は、就業者がどれだけ効率的に仕事をしているかを表す指標です。
スキルの向上でこなせる仕事量が増えたり、働く時間が短くなったりすれば生産性は高まります。
そして、国全体の労働生産性は、国内総生産(GDP)を労働者数や労働時間で割って求めます。
日本の労働生産性は海外に比べ低い
日本生産本部によりますと、日本の1時間あたりの労働生産性は、2018年に46・8ドルでした。
働き方改革に伴う勤務時間の短縮などを受け4年連続で改善しました。
一方海外との格差は広がっています。
2015年の日本の生産性は、OECD平均の87%あったのが、2018年には、83%に下がりました。
G7主要7カ国中では、最下位です。
日本の労働生産性が低い要因
かねてから、日本の労働生産性が低い要因と考えられていたのがサービス業の生産性の低さです。
教育と医療・福祉を除く7業種で米国を下回っています。
卸小売りや飲食・宿泊は、米国の4割しかありません。
多くのサービス業で日本は、米国に比べて品質の高さに見合った価格設定ができていないということです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮崎浩氏は「デフレの後遺症で企業はサービスの質を高めても相応の値上げが難しい」といいます。
一方消費者から見れば高品質なサービスを安く買える分、お得感は大きいでしょう。
経済用語で、「消費者余剰」と呼ぶお得感は、経済のデジタル化という構造変化で、一段と膨らんでいる可能性があります。
アプリなどで通話や撮影、地図検索を無料で利用できるようになり価格という物差しでは、表せない価値が増えているためです。
野村総合研究所はこうした無料デジタルサービスが実質GDPの8.4%分の価値を生んだとみています。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)が同じ手法で試算した米国の価値は、GDPの
5.8%。日本人のほうが、無料デジタルサービスを使っていることになります。
宮崎氏は、「日本人はサービスはただ」という考えが浸透しており、お金がかからないサービスを追究する姿勢が強い」とみています。
価格で測れない価値はGDPに反映されず生産性というデータにも表れてこない。
無料デジタルサービスが日常生活に広がる一方で企業がIT(情報技術)を使って
製品やサービスの付加価値を高める取り組みは遅れています。
企業のIT化の遅れ2025年の崖の予兆か?
OECDは、加盟各国でメールや表の作成、プログラミングなどを職場でどれくらい使うかを指数化しました。
日本は、平均を下回り、職場のデジタル化が遅れていると指摘します。
さらにIT投資の目的をみると、日本企業の「守りの姿勢」も浮かび上がっています。
電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によると、日本企業がIT関連の予算を
増やす目的は、業務効率化やコスト削減が33%と最多。
製品・サービスの開発強化やビジネスモデルの変革など「攻めの投資」が目立つ米国企業とは対照的。
最近は、小売りや物流大手がIT投資を増やしているが、発注や仕分けといった業務効率化に目が向きがち。
今後企業が積極的なIT投資を通じて市場のモデルケースとなつデータサービス
を創り出し収益化できなければ生産性は高まりにくいでしょう。
こうした、日本企業のIT化の遅れは、意識レベルの問題から始まって結局IT設備投資に積極的ではなく、ここで述べた労働生産性の低下現象としてでおり、しいては、経済産業省のDXレポートで指摘する2025年問題、つまりIT革命の波に乗り続ける外国企業とそうでない日本企業での競争力の格差が歴然とでてしまう恐れがあります。
日本企業もITに積極的に投資して方向性を変えなければ、もはや手遅れの事態にもなりかねません。
まとめ
今回は、「2025年の崖のDXレポートが現実化する?日本の労働生産性が停滞」というテーマでお送りしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。