産業構造の大変革が起きています。ものづくりを主体とする産業構造から付加価値が大きい利益を生むデジタル経済へ転換しています。そこに、必要な人材はAI(人口知能)などのIT関連技術も持つ人材です。そして、企業の中高年を襲ったのが黒字リストラとその後にくる賃下げ圧力です。これらは、産業構造の変革からくるもので避けられません。それに追い打ちをかけるように「70歳定年制、同一労働同一賃金」の導入でした。
目次
中高年の賃下げ圧力の実態は
産業構造の変革に加え、や70歳定年制、同一労働同一賃金、社員の平均年齢の上昇で年功型賃金は、崩壊して来ています。
企業は、社員の総人件費の抑制で必死です。
社員の高齢化で、管理職ポストは不足、さらに若手社員も雇えません。
そこで、企業は、ここ数年で黒字リストラを大規模に断行してきました。
そして、次に、来るのが賃下げ圧力です。
実際の数字で見ると、2000年と2018年での給与の変化をみると、55歳の給与で中央値が2000年の62万2500円が2018年には53万6400円に下落しました。
率で言えば14%落ちています。
そして、その中で、上位層10%でみると87万7300円が82万3000円で3%の下落にとどまっているのに対し、下位層では45万2600円から35万600円と23%も下がっています。
この事実は、企業にとって、実績や実力を認められていない中高年ほど、きつい賃下げ圧力を受けてしまっていることを表しています。
一方25歳の給与は、中央値が22万8600円から23万5100円と3%増加しています。
これが、2019年以降になると傾向がもっと顕著になってくると思われます。
賃下げ圧力につながる企業の高齢化問題
企業の高齢化問題が賃下げ圧力につながっています。
日本は少子高齢化が急速に進んでいます。出生率も予測大幅にを下回るほど減っています。
それに加え、バブル崩壊後、採用を減らして来たりして高齢化が
かなり進んでいます。
大卒の男女で一般労働者の年齢別割合をみますと
2000年には、40歳以上の割合が39%だったにに対し
2018年には49%と上昇しています。
産業構造の変革とは「もの売り」から「こと売り」へ
産業構造の変革とは「もの売り」から「こと売り」へ変わります。
企業が今後利益を確保していくためには、ものを売るのではなく、ことを売る時代になりました。
分かりやすく言えば価値とか体験をサービスとして売るビジネスモデルで、そのサービスの提供にはそれに応じたソフトウエアの開発が必要になります。
そのために、求められる人材とは、若手中心のIT関連のスキルがある人材です。クラウドやセキュリティーなどのスキルを含めたデジタル人材です。
賃下げ圧力の背景にある産業構造の変革
賃下げ圧力の背景にある産業構造の変革とは消費者動向の変化にあります。
なぜ「もの売り」から「こと売り」へ変わっていったかと言いますと、例えばこんなでーたがあります。
平成26年度に内閣府が実施した世論調査の結果です。
そこには「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と答えた人の割合が63%を超えていました。
年齢や職業にもよりますが、可処分所得が多く購買力があると思われる層ほどこういった考えを持っているようです。
つまり、お金を使えるという状況で単純にモノを増やしていくことより、モノから得られる体験を重視していく消費傾向が強まっているということです。
モノ売りからコト売りへの転換と言っても、モノ(物販)かコト(体験提供サービス)かといった分け方ではなく、人々が求めている体験(コト)を自社の商品やサービス(モノ)でどう具現化することが出来るかという視点を持つことが必要です。
すでに時代は、心を豊かにしてくれる商品やサービスに消費者はお金を払ってくれる時代になったわけです。
黒字リストラから賃下げ圧力へのシナリオ
今、企業で中高年を退社させる手段として多いシナリオは、退職金上乗せ、時には給料の2年分を上乗せする場合も。
それを条件に面談で自主退職を勧めます。
何度か複数回繰り返し応じない場合は、「仕事外し」といって今まで慣れてきた仕事を取り上げます。
そして、賃下げ圧力をかけていきます。
「何があってもやめない」と決意していた中高年社員も次第に心が揺らいでくるというシナリオです。
まとめ
今回は、「黒字リストラの後は賃下げ圧力が中高年を襲う【産業構造変革】」というテーマで中高年サラリーマンには厳しい現実をご紹介しました。
ですが、「不景気は時代こそ商機」も必ずあります。
柔軟な発想さえできれば、この急速に変革が進む時代でも、しっかりその波に乗ることは可能です。
なぜなら、あなたも人、商売の相手も人です。
この変革の時代を乗り切るためまずは情報収集を徹底的にやるべきです。
情報のアンテナ網を張り巡らすことから始めるべきです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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