8月10日叡王戦七番勝負第7局豊島将之竜王・名人対永瀬拓矢叡王対局の講評と棋譜です。結果は、永瀬拓矢叡王が勝ちました。永瀬拓矢叡王に豊島将之竜王・名人が挑戦する第5期叡王戦七番勝負第7局が、8月10日(月・祝)に、東京都渋谷区「東京・将棋会館」にて行われました。永瀬拓矢叡王の勝利。
目次
叡王戦七番勝負第7局豊島将之竜王・名人対永瀬拓矢叡王対局講評
8月10日の叡王戦七番勝負第7局は、永瀬拓矢叡王の勝利。
結果として対戦成績を3勝2敗2持将棋です。
永瀬拓矢叡王、豊島将之挑戦者ともに2勝2敗(2持将棋1千日手)で8月10日、叡王戦七番勝負第7局が、東京・将棋会館において実施されました。
第5期叡王戦七番勝負第7局・永瀬拓矢叡王-豊島将之竜王・名人戦がおこなわれました。
第7局は永瀬叡王、第8局は豊島挑戦者が先手と決まりました。もし次に振り駒があるとすれば、第8局が終わってもなお「七番勝負」の決着がついてない時です。
永瀬二冠は右手で飛車に飛車に少しふれたあと、その上の歩をつまんで、一つ前に進めました。対して豊島挑戦者もまた、飛車先の歩を突きます。
進んで戦型は相掛かりとなりました。永瀬叡王先手の第5局と同じ戦型です。第5局、永瀬叡王は比較的早めに玉を上がりました。本局ではオーソドックスに、先に飛車側の銀を上がります。そして両端の歩を突きました。
11手目が指されたところで、ぴたりと豊島挑戦者の手が止まります。
30分の長考で、飛車先の歩を突いて交換に出ました。現代の相掛かりはどのタイミングでそれを実行するのかが、重要なポイントです。
そして飛車を元の位置に戻す「引き飛車」にするのか、それとも四段目の「浮き飛車」にするのか。豊島挑戦者は浮き飛車を選びました。
19手目。永瀬叡王も飛車先の歩を交換していきます。そして豊島挑戦者と同様に四段目に構えます。そこでまた豊島挑戦者は考慮に沈みました。
24手目。豊島挑戦者は42分で自陣四段目に角を出ました。これは飛車取りです。対して永瀬叡王は飛車をどこに逃げるか。複数の選択肢があります。
25手目。永瀬叡王はわずか5分の考慮で遠く8筋に飛車を転回。相手の飛車にぶつけていきました。いちばん強気な手です。
26手目。豊島挑戦者は29分考えたあと、飛車交換に応じました。両者の駒台に飛車が乗り、序盤から波乱含みの展開になりました。
67手目。永瀬叡王は満を持して踏み込みます。永瀬叡王は豊島陣の桂と馬(成角)を取る一方、豊島挑戦者は銀と金を取ります。
豊島挑戦者にもどこかチャンスが出てきたのではないかと思われたところ。
永瀬叡王は自陣に桂を打ちます。相手の龍(成飛車)の横の利きを止めながら、豊島陣に利かせる攻防手。これでやはり永瀬挑戦者リードは変わらないようです。
豊島挑戦者からはときおり、濃い疲労の色がうかがえます。
2日にわたる名人戦の激闘のあと、中1日をおいての本局。そして相手はいずれも強敵。疲れないはずはないでしょう。
74手目。豊島名人は6筋の金底に歩を打って、粘りの姿勢を見せます。
対して永瀬叡王は先ほど打った攻防の桂で相手の香を取り、その香をすぐに6筋中段に据えます。これもまた攻防に利く位置です。
持ち時間6時間のうち、残り時間は永瀬1時間21分。豊島55分。
非勢の中、豊島挑戦者は考え続けます。そして27分考え、飛車取りに銀を打ちました。あまりはたらきのない場所への投資なので、いかにもつらい一手。しかし最後まで勝負を捨てないという姿勢は崩していません。
87手目。永瀬叡王は角を打って王手をかけます。金が利いているところですが、金で取られたら豊島玉は詰みます。豊島挑戦者は金を打って合駒としました。
永瀬叡王はいまうったばかりの角を切って、自陣に迫る相手の桂と刺し違えます。これが永瀬流の負けない将棋。「終盤は駒の損得よりも速度」の格言にもかなった順です。
91手目。永瀬叡王は相手の底歩に合わせる形で、6筋に歩を打ちます。
身体を前後にゆすりながら、体力、気力とも十二分の迫力を感じさせる永瀬叡王。対して豊島挑戦者は静かにたたずんでいる感じです。
静かな対局室に、観戦者にとってはやや突然とも思われる感じで、豊島挑戦者の声が響きました。
「負けました」
豊島挑戦者は駒台に右手をそえ、深く一礼して投了の意思を告げました。永瀬叡王も一礼を返して、対局終了。永瀬叡王は黒いマスクをつけて、感想戦が始まりました。
永瀬叡王はこれで3勝2敗2持将棋。タイトル初防衛まで、あと1勝としました。
永瀬叡王VS豊島竜王・名人は、過去11回対戦し、永瀬叡王の5勝4敗2持将棋1千日手です。
第7局は持ち時間が各6時間でした。
第6局は、豊島竜王・名人が制し、現在、両者ともに2勝2敗2持将棋でタイでした。
「七番勝負」とあるとおり、通常は4勝先取、最大7局で終わるが、今シリーズは持将棋・引き分けが2局あったことで、史上稀にみる長いシリーズになっています。
本局の結果を受けて、タイトル決定も8局目以降になることが確定した。
千日手1局、持将棋2局、200手以上の長手数が3局と、とにかく「長い」ことで注目を集めている今シリーズ。
対局時間、手数だけでも“史上最長級”となっているこのシリーズ。ここから両者1勝ずつあげれば、9局目までもつれる可能性もある。
叡王戦七番勝負第7局豊島将之竜王・名人対永瀬拓矢叡王対局棋譜
叡王戦七番勝負第6局豊島将之竜王・名人対永瀬拓矢叡王対局棋譜と全指し手です。
ー将棋対局速報▲永瀬拓矢叡王ー△豊島将之竜王・名人 第5期叡王戦七番勝負 第7局[相掛かり]
第5期叡王戦第7局▲永瀬拓矢叡王△豊島将之竜王・名人
永瀬拓矢叡王が勝ちました。
(持ち時間:6時間)
ー第5期叡王戦七番勝負 第7局 ▲永瀬拓矢叡王 − △豊島将之竜王名人【将棋棋譜】
ー第5期 叡王戦 七番勝負 第7局 永瀬 拓矢叡王 VS 豊島将之 竜名
まとめ
今回は「第5期叡王戦七番勝負第7局豊島将之竜王・名人対永瀬拓矢叡王対局棋譜。」というテーマでお送りしました。
最後までご覧いただきありがとうございました。