台湾から人種差別的な攻撃を受けたと主張したWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長に抗議するため、台湾の有志らは2020年4月15日(日本時間)、米紙に「WHO can help?」「Taiwan」などと書かれた全面広告を出し、国連との連帯をアピール。WHO幹部は、インタビューで台湾加盟を拒否するWHOの姿勢を示す。アメリカのトランプ大統領は3月25日の記者会見で、「(WHOは)中国に肩入れしている」とWHOの立場を疑問視しWHOの拠出金を停止。
目次
台湾「WHO can help?」「Taiwan」などと書かれた全面広告
台湾から人種差別的な攻撃を受けたと主張したWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長に抗議するため、台湾の有志らは2020年4月15日(日本時間)、米紙に「WHO can help?」「Taiwan」などと書かれた全面広告を出し、国連との連帯をアピール。
広告費はクラウドファンディングで募り、目標を大きく上回る額が集まった。
台湾の蔡英文総統のフェイスブックでは、2万6000人の寄付があったようです。
WHOは、新型コロナウイルスに関して中国寄りの発言を繰り返し、国際的な非難を集めています。
特に、「一つの中国」を掲げる中国への配慮からか、WHOへの加盟を拒否されている台湾の反発は強まっています。
そんななか、WHOトップの、テドロス氏による名指しの台湾批判です。
4月8日の会見で、自身への侮辱がインターネット上に広まっており、「人種差別を含む中傷は3か月前に台湾から行われてきた」「台湾の外交部も関与した」などと発言しています。
これに対し
台湾の蔡英文総統はすぐさま否定。市民も呼応し、テドロス氏への抗議のため、米ニューヨーク・タイムズ紙への全面広告の費用がクラウドファンディングで募られた。
4月15日までの現地の複数報道によると、400万台湾ドルの目標に対し、2万6000人から約2000万台湾ドル(7100万円)集まった。国内外への医療支援費などを除いた額が広告に充てられた。
「誰が台湾を孤立させることができるか?」
広告は上下で対比したデザインになっている。上部にはWHOをイメージしたとみられる青色で「WHO can help?」と書かれ、下に「Taiwan」と書かれている。
小さな文字で「孤立した時代に、私たちは連帯を選びます」とのメッセージもある。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)での辛い経験や、WHOから台湾が排除されている現実、台湾が諸外国へ新型コロナの感染拡大に向けての支援をアピール。
「あなたは一人じゃない。 台湾はあなたと一緒です」
「誰が台湾を孤立させることができるか?いや、誰もできない。なぜなら私達は手助けるためにここにいるから」
以下サイトの訳文です。
孤立した時代に、私たちは連帯を選びます
あなた一人じゃありません。台湾はあなたと一緒です。私たちはあなたが何を経験しているか知っています。私たちはそれがどれほど難しいかを知っています。
台湾は、2003年にSARSの蔓延で打撃を受けたと知っています。
世界保健機関から隔離された台湾は知っています。そのため、私たちは、発生をどのように抑制し、学校と企業をオープンに保ち、すべての人に仮面を確保したかを共有することにより、国際的な取り組みに貢献しています。
過去数週間で、台湾は世界中の医療専門家をサポートするために1,600万以上の医療用マスクを提供し、COVID-19の最先端の迅速なテストとワクチンについて米国とEUと協力してきました。引用:https://taiwancanhelp.us/
WHO幹部、台湾の質問に「聞こえない」
「一つの中国」配慮か、外交部「政治は別にすべき」の問題が持ち上がっています。
香港のニュース番組に出演した、WHO(世界保健機関)のブルース・アイルワード事務局長補佐官のインタビューが衝撃的です。
台湾について問われたブルース・アイルワード事務局長補佐官が、「質問が聞こえない」「ほかの質問に移ろう」という発言をしました。
まるで、自身に都合の悪いことを聞かれたくないような態度。よほど後ろめたさがあるのでしょう。
中国の圧力さえ、見え隠れします。
この台湾の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策について、意図的に回答を避けるような場面についても、台湾の外交部が「パンデミックへの対処には政治は別にすべきだ」と抗議。
WHOをめぐっては、以前より「中国への過剰な配慮で感染拡大を招いた」との指摘があります。
まだ、感染が中国国内で治まっているとき、「感染について問題ない」という発言をしつづけしまいには、「中国はよくやった」と中国を礼賛しています。
結果的に、いまや全世界で感染者は200万人にもおよんでいます。
台湾加盟を拒否するWHOの態度がはっきりわかるのがこの事件です。
香港の公共放送「RTHK(香港電台)」の報道番組で2020年3月28日、アイルワード氏がテレビ電話でのインタビューに応じました。
アイルワード氏は前半、「WHOは非常に早い段階でこのウイルスがパンデミック(世界的流行)になる可能性があると認識していた」とする見解や、中国での感染対策を振り返った。
その後、番組では
(1)台湾では先週末に252人の感染が確認されるも死者はわずか2人だったこと。
(2)台北は19年12月末、WHOに「ヒト・ヒト感染」のリスクについて警鐘を鳴らしていたことや自国の感染対策を紹介するシーンを紹介。
台湾の対応は国内外から一定の評価を受けているが、「一つの中国」を掲げる中国への配慮からか、WHOは加盟を拒否している。
そうした背景を踏まえ、番組プロデューサーは「加盟を再考するつもりはあるか」と問うと、アイルワード氏はしばらく沈黙し、「質問が聞こえない」と回答。もう一度質問すると返すと、「いいえ、結構だ。ほかの質問に移ろう」とはぐらかした。
プロデューサーは、台湾での感染対策についても話したいと切り出すと、回線が遮断。
電話をかけ直し、ふたたびコメントを求めると、「中国についてはもう話した」「中国のすべての地域で(対策は)順調に進んでいる」などと答えた。
トランプ大統領の主張「WHOは中国に肩入れしている」
アイルワード氏の言動は、台湾内外で話題になっています。
インタビューを書き起こした記事や動画がSNS上で拡散し、台湾の外交部は29日に「WHOは『台湾』と発声することさえできないのか。パンデミックへの対処には政治は別にすべきだ」などとツイートも多数だされています。
自民党の長島昭久衆院議員もツイッターで「最低だな。でも、WHOから外された台湾が、世界のどの国よりも感染拡大を阻止し得たのは誠に皮肉」と投稿。
WHOをめぐっては、テドロス・アダノム事務局長の中国を持ち上げるような発言が目立つ。中国側も、WHOへ2000万ドル(約21億円)の寄付を表明するなど、両者は蜜月といえる。
アメリカのトランプ大統領は3月25日の記者会見で、「(WHOは)中国に肩入れしている」とWHOの立場を疑問視。
署名サイト「Change.org」でも、「テドロス氏は客観的な調査や評価を全く行う事もなく、中国政府から報告されている死亡者、感染者数を鵜呑みにしています」として、テドロス・アダノム事務局長の辞任を求める動きが高まっています。
まとめ
今回は、「台湾WHO連帯をアピール。WHOは台無視「「質問が聞こえない」「ほかの質問に移ろう」」というテーマでお送りしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。