「世界平和大観音像」が解体、取り壊しに。2020年度中に塔と山門、2021年度から2か年で観音像をそれぞれ撤去する予定。兵庫県淡路市釜口の高さ100メートルの巨大観音像がついに解体されることに。撤去費用は5億円ともいわれる。
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「世界平和大観音像」解体
兵庫県淡路市釜口の間近に大阪湾を望む国道28号沿いに立つ「世界平和大観音像」。所有者が死亡し現在は、財務省近畿財務局が管理しているが、2022年度までに解体撤去される予定。
今の状況は、頭部の下にある展望スペースや像の腰のあたりに位置する部分の外壁が崩れ、コンクリート片が足下に散乱するなど老朽化が目立っている。
これら、施設は、所有者のない無主物として2020年3月30日付で土地を含めて国の所有物となった。 これを受け、4月1日、財務省近畿財務局が、観音像を周辺施設と共に解体撤去すると発表した。
2020年度中に塔と山門、2021年度から2か年で観音像をそれぞれ撤去する予定。
「世界平和大観音像」の建設と当時の様子
オオウチグループの創業者、奥内豊吉が私財を投じ、出身地である淡路島に1977年に建立したもの。
オオウチグループは、大阪市西区を中心にオフィスビル、賃貸マンション、ビジネスホテルなどの経営で財を成した会社。現在は存続していないよう。
観光客誘致目的で建立された当初は、多い日には2000人の来客を集めた。
施設の中心は、100メートルの巨大な観音菩薩像で、観音像の首の下付近は、大阪の街並みや大阪湾を一望する展望台となっている。
この首の部分に設けられた展望台がむち打ち症治療用のギプスを連想させることから「むち打ち観音」の異名で呼ばれることもある。
施設内には、「世界平和大観音像」の他、十重之塔(高さ約40メートル)、五百羅漢像、「自由の女神像」のレプリカ、蒸気機関車D51 828も置かれていた。
「世界平和大観音像」の中(内部)
「世界平和大観音像」の構成は、20メートルの台座部分は地上5階建ての博物館。
6階以上が80メートルの観音像本体になっている。
世界平和大観音像は、20メートルの台座部分は地上5階建ての博物館、6階以上が80メートルの観音像本体となっており、首の下辺りに大阪湾を望む展望台を持つ。
観音像の台座部分の1階は「豊清山平和観音寺」として本尊が祀られ宗教施設の様相を呈しているが、上階ならびに地階のほとんどは奥内の個人コレクションからなる博物館である。
博物館の地階は交通博物館。奥内氏が蒐集した多数のクラシックカーが無造作に並べられ
ていた。
所蔵車両は昭和30年代から昭和40年代の日本車が多かったが、中にはジャガー・マークXなどの輸入車や、ダットサン17型などの戦前の日本車なども展示されていた。
1階:豊清山平和観音寺。台座部分の観音像入口脇に、由来を記した建立記念
碑と奥内夫妻と思しき胸像が設置されていた。
内部は唯一の宗教施設として、本尊、四国八十八ヶ所各霊場の砂を集めたミニ四国八十八ヶ所霊場「お砂踏み」が置かれ、砂の上を踏み歩くことで参拝したと同様の功徳があるとされた。
2階は、近代絵画美術館。パブロ・ピカソ、ミロ、ビュッフェ、藤田嗣治などの複製画が並んでいた。
3階は、近代陶芸美術館および時計博物館。古い掛時計や置時計が多数収蔵されていた。なお、絵画及び陶芸美術館は奥内近代美術館(現在の奥内陶芸美術館)の分館という扱いであった。
4階は、展望レストラン、土産物売り場、ラドン温泉浴場、宴会場。
5階は、民族博物館。鎧兜や馬具などが展示されていた。
「世界平和大観音像」のその後の経緯と現在
観光客誘致目的で建立された当初は、多い日には2000人の来客を集めたものの、一般観光客や観光業界、地元からは異端視されており、次第に来訪者が減少。
強風の日などは展望台に立つと大きく揺れたという。内部4階にはかつて海の見える展望レストランも存在したが、経営が悪化すると休業となった。
1988年に奥内が死去し、妻が遺志を引き継いで営業を継続するも、その妻も2006年死去したことから閉館し、次第に廃墟となっていった。
閉館後は遺族が相続を放棄したため、アメリカのリーマン・ブラザーズ系金融機関が一時債権を保有したが、同社が2008年9月に世界金融危機により会社更生法を申請したため、別会社へ債権が移行した。
神戸地方裁判所により2007年から2008年にかけて競売にかけられたものの、入札者はなかった。
2012年頃には、評価額6億2000万円・関連施設を含めた不動産取得税と登録免許税合わせて4000万円以上で一時売却が進行し、税金の減免についても淡路市から一定の譲歩が引き出されたものの、建築費がもととなる高額な税評価額から売却は成立しなかった。
2014年8月の台風第11号通過時や2018年には、外壁が一部崩落するなど危険な状態となっている。
2019年時点で淡路市都市計画課は「空き家対策特別措置法の対象になると思う」との見解を示しつつも、市長は「そこまで強制的に行うのはどうか」と難色を示しており債権者からの訴訟や税金支出への反発も予想されることから、具体的検討には至らなかった。
相続人がいないことから、民法の規定により国の所有となる。
現在は、かなり荒廃が進んでいる模様。
淡路市職員ら50人が内部調査を行ったところ、大観音像台座の出入口は壊され、盗難や雨漏り、腐食などが確認された。
所蔵車両は売却などにより散逸しており、一部は愛好家の手でレストアが行われて現存している模様。
展望台は望遠鏡が倒れ、雨漏りや天井板の剥落などがあり危険な状態であったことから、出入り口の封鎖や十重之塔の屋根に葺かれた銅板の飛散防止対策などが行われた。
「世界平和大観音像」の荒廃の様子
「世界平和大観音像」の荒廃の様子を画像で紹介。
世界平和大観音像の広い敷地内は、手入れがされていなく雑草が繁茂している。
小仏像の倒壊もあり、危険な状態が見受けられる。
「世界平和大観音像」の内部は、かなり荒廃が進んでいる。
館内の案内表示版で当時を偲ぶことが出来る。
「世界平和大観音像」で飛び降り
「世界平和大観音像」で2020年2月に飛び降り事件も発生。
男性が飛び降りるのを、近くにいた男性らが目撃し119番通報した。救急隊員が駆け付けたが、男性は既に死亡していた。
県警淡路署によると、男性は20~30歳くらい。観音像は中に入ることが可能で、展望台へは階段で上ることができる状態。
展望台に靴などが残されていたため、男性が自殺を図ったとみられる。
まとめ
今回は「「世界平和大観音像」解体、取り壊しに。建設当時と今の様子は!」というテーマでお送りしました。
最後までご覧いただきありがとうございました。