ロシアのプーチン大統領は2024年に退任になる。その退任に向けて、院政をしき
退任後も影響力を残そうと着々と準備を進めています。15日に当然行われた「内閣総辞職」もその布石の一つとみられます。
目次
プーチン大統領が院政に向けて準備「憲法改正」案を提起する。
ロシアのプーチン大統領は、1月15日年次教書演説を議会で行いました。
その年次教書演説の内容は「政治システムを大幅に改革する」という表題です。
内容の詳細は、議会の権限強化に向けた憲法改正と、地方知事らで構成する国家評議会の制度化が主なものになっています。
プーチン大統領は、憲法改正の必要性について「現行憲法は25年以上前、深刻な政治危機の中で採択された。当時から状況は大きく変わった。」と述べています。
憲法改正案は具体的には
①首相や閣僚を決める権限を大統領から議会に移す。
②国家評議会の役割と地位を定める。
③大統領の任期を2期に制限する。
などが主な内容です。
そして、憲法改正は国民投票で最終的に決定することを提案しています。
ロシアで国民投票が行われたのは、1993年に当時のエリツィン大統領政権下で憲法を承認したのが最後です。
現行のロシア憲法では、首相は大統領が提案し議会の同意を得て任命することになっています。
今後は、首相と閣僚人事の決定権は議会が握ることとしています。
プーチン大統領により2000年に創設された国家評議会は、今は大統領の諮問機関に過ぎなかったのですが憲法改正により権限を強化することになります。
そして、2024年のプーチン大統領の任期切れによる大統領退任後、プーチン大統領自身が国家評議会のトップにつき、長く院政を引く目的が見えてきます。
つまり今回プーチン大統領によって提起された憲法改正案の目的は自身の政権への影響力を維持することが一番にあります。つまり院政を敷くことです。
そして、プーチン氏が影響力を持つことで次期政権の安定化です。
さらに、新たな政権が独裁的で長期政権を防ぐこともあります。
大統領の任期は現行憲法では「連続して2期まで」で3期連続を禁止しています。
現に現職のプーチン大統領は、連続2期大統領に就任した後、いったん首相になりその間、自分の意のままに操れるメドヴェージェフ首相を、大統領にさせ、裏で実権を握りました。
その後再び、連続の要件から外れた後で、大統領に就任しています。
それが、今回の憲法改正案では、「連続2期までを」単に「2期まで」に改正予定です。
プーチンの長期政権による国内の不満が高まっている。
プーチン大統領が政権を握ってからすでに20年にもなる長期政権になっています。
その間ロシア国内の景気後退もあり、例えば、年金受給の引き上げを契機に2018年から支持率が8割から6割に低下しました。
その後支持率はなかなか戻りません。
実質所得な伸びず政府が定める必要最低限の生活費を下回る収入でくらす貧困層は2019年9月時点で人口の約13%と高い水準にあります。
そんな中、近年は反体制野党の呼びかけによるデモも起きている状況です。
プーチン大統領が院政に向けて準備健保改正案提起の直後に「内閣総辞職」
ロシアのメドヴェージェフ首相は1月15日内閣の総辞職を行いました。
プーチン大統領が議会の権限強化をするための憲法改定案を提起した数時間後のことです。
当然ながら、プーチン大統領も承知した上の今回の内閣の総辞職です。その証拠に、隣にはプーチン大統領の姿がありました。
プーチン大統領が、任期満了後も権力を維持する「院政」のための布石が内閣総辞職であると考えられます。
ロシア政府筋はBBCの取材に対し、閣僚は内閣総辞職を事前に知らされておらず、「寝耳に水だった」と述べています。
今回の内閣総辞職は、プーチン大統領がトップに立ち支配を及ぼす予定の国家評議会の
権限強化の準備です。
権限が強化される国家評議会は、かなりの権限がゆだねられることになりそうです。
プーチン大統領は、メドヴェージェフ首相に対し、自分が議長を務める国家安全保障会議(NSC)の副議長への就任を打診しているようです。
メドヴェージェフ首相の後任には、ミハイル・ミシュスチン連邦税務局長官が任命されました。
プーチン院政体制のロシアの今後の姿はどうなるか?
ロシア大統領府が考えている新しい体制は、プーチンが、大統領退任後も、影響をも続けるため、今は、大統領が持つ、首相と閣僚の人事権を下院議会に持たせ、その下院議長にプーチン氏が就任します。
副議長は、首相でプーチン氏を長年支え続けてきたメドヴェージェフ元首相に決まっています。
これが、プーチン院政の新しいロシア政治体制とクレムリンの姿になりそうです。
新首相のミハイル・ミシュスチン氏はどんな人物か?
メドヴェージェフ首相辞職後、新首相に就任したミハイル・ミシュスチン氏についてです。
ミハイル・ミシュスチン氏は、53歳で連邦税務局長官でした。
税務分野の経験を買われたとみられ、ロシアの課題である経済政策を、遂行するための専門能力を期待されているための人事と見られます。
ミハイル・ミシュスチン氏は、プーチン大統領の側近ではなく、経済分野のテクノラート(専門的官僚)です。
おそらくミシュスチン新首相はほとんど政治力を持っていない人でしょう。
シュスチン新首相は就任のあいさつで、経済政策中心の演説をしています。
「ロシアには、大統領が示した政策目標の達成に必要なすべての資源がある」
とし、ビジネス環境の改善や貧困家庭に対する支援の強化などを示しました。
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