レジ袋有料化の義務化が本決まりになりました。実施時期と、実施対象について。そして環境面から当然という声もありますが、その効果を疑問視する反対意見もあります。今回は、その、効果を反対意見紹介しながら見ていこうと思います。
目次
レジ袋有料化の義務化はいつから実施されるか?(’20年に一定効果)
経済産業省と環境省の合同会議は2019年11月1日、レジ袋有料化義務化に向けたスケジュールを示しました。
当初予定していた、制度を開始する時期を「早ければ2020年4月から」を、3が月延期する形で2020年7月から有料化を義務付ける方針を固めました。
無料配布禁止などの義務化に向けた検討を進めてきた「容器包装リサイクル法の省令」を12月末に改正し、2020年7月1日に施行することで合意しました。
当初、国の2020年4月という急速とも思える日程は、2020年に行われるオリンピックまでに一定の効果をあげたいという目論見があったと見られます。
これらについての理由として、業界団体などから国の提示案に対し、準備が間に合わないといった意見が相次いだことに配慮し、開始時期を遅らせる、とのことです。
具体的には、政府がおこなった事業者ヒアリングで「システムの変更や袋の調達、周知期間などで6カ月程度の準備期間が必要」との声が企業がわで多く上がったためと説明しています。
レジ袋有料化の義務化がされる対象(対象店舗)はどの範囲でしょう。国は先行事例で効果実績を見込む!
今回の制度の対象となるのは、化石資源由来でワンウェイのプラスチック製買物袋です。
国は、レジ袋有料化の義務化がされる対象を例外なく行うことで一定のプラスチックごみ削減効果を見込んでいます。
価格については各事業者が自ら設定し、国はガイドライン等で先行事例の効果実績などを示していく予定。
一方で、(1)バイオマスプラスチック配合率が一定以上(施行当初は配合率25%以上)、(2)厚さが50マイクロメートル以上、(3)海洋分解性で相応の機能が得られたものについては、有料化の対象から除外されました。
また、対象店舗についてはどうでしょうか?
今回のレジ袋有料化の義務化では、事業規模に差で「競争上の不公平を生じないよう、あらゆる業種においてプラスチック製買物袋有 料化等による削減努力がなされることが必要」として、コンビニ、個人商店、小売店、店舗でのテイクアウトなど事業規模問わず一律に義務化する予定です。
これは、規模、業種で例外を認めるとレジ袋有料化の義務化の効果がなくなってしまうことも考えたものと言えるでしょう。
レジ袋有料化の義務化がされる効果とは、環境省の戦略。
環境省のプラスチック廃棄物の削減戦略の素案が10月19日発表されました。レジ袋有料化の義務化の効果を、環境省の戦略で見てみましょう。
環境省の発表した「プラスチック資源循環戦略(素案)」では、プラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)を一層推進するため、レジ袋の有料化を義務付けることなどを盛り込んだ、プラスチック廃棄物の削減に向けた戦略です。
素案での基本原則は「3R+Renewable(持続可能な資源)」です。
使い捨てのプラスチック製容器包装・製品について、無駄に使われる資源を徹底的に減らすとともに、原料を再生材や再生可能資源(紙、バイオマスプラスチック等)に適切に切り替えた上で、できる限り長期間使用する。
また、使用後は、効果的・効率的なリサイクルシステムを通じて、持続可能な形で、徹底的に分別回収し、循環利用(熱回収によるエネルギー利用を含め)を図る、というものです。
とくに、可燃ごみ指定収集袋など、その利用目的から一義的に焼却せざるを得ないプラスチックには、カーボンニュートラルであるバイオマスプラスチックを最大限使用し、かつ確実に熱回収する、としています。
ここでいう、バイオマスプラスチックとは、サトウキビなどの植物再生可能な有機資源を使用することによるバイオマス(生物資源)を原料につくられるプラスチックで、微生物が分解する「生分解性プラスチック」と2つを合わせ、「バイオプラスチック」と呼ばれています。
さらに、廃棄物の削減戦略として、海洋プラスチック対策をおこない、犯罪行為であるポイ捨て・不法投棄撲滅に向けた措置を強化するとしている。
そして、「マイクロプラスチックの海洋への流出を抑制する施策」として、2020年までに洗い流しのスクラブ製品(※化粧品や歯磨きなどに、角質除去や洗浄の目的でスクラブ剤が配合されているもの)に含まれるマイクロビーズの削減を徹底するなどしています。
現状レジ袋はあちらこちらにポイ捨てされ、河川をへて海洋にも流出しています。
今回のレジ袋有料化の義務化が徹底して行われる効果としてこれらにあげたのも、消費者のライフスタイル変革が廃棄物の削減戦略には一定の効果を期待しているようです。
レジ袋有料化の義務化の効果の反面、生活上のどんな不便があるか。
だれしも、今回のレジ袋有料化の義務化によるごみのポイ捨て防止効果は否定できないと思います。
いま、私たちの生活場所の周りでは、道端、路上、公園、空き地、畑いたるところでポイ捨て、投げ捨てされ、コンビニ袋が散乱している。
私自身の周りをお考えても、道路に面した家屋敷内にポイ捨てのごみ。大抵コンビニのレジ袋です。いくら拾っても後をたちません。
また普段自家用車をよく利用するのですが、また国道の交差点の信号機の手前の植え込み、コンビニのトラックの休憩所など何も抵抗なく捨てる人が多いのが現状です。
今の日本人は、ゴミを持ち帰るとか、捨ててはいけないとかいうモラルの無い人が結構多いのが現状です。
レジ袋の使用が有料化されれば、確実に街は綺麗になるでしょう。
例えば、この点で参考になるのが、たばこの喫煙です。
たばこの喫煙率が特に男性を中心に多かった昭和60年頃までは、たばこを車の窓から、火のついたまま投げ捨てる人、車の車内のたばこの吸い殻を灰皿さら路上に捨てる人など、自分が車を運転していて、モラルのない喫煙者の目の余る光景がよく見かけられましたが、その後喫煙率が急激に下がり、前記のような光景は今はほとんど見なくなりました。
ちょっとたばことレジ袋では、例えが本質的に違いますが、利用する数が減れば確実に捨てられる絶対量も減るでしょう。
2020年は東京オリンピックの年でもあり、今のこの現状を外国の人たちに見られるのも地球温暖化の意識が高まる今日ではあまり好ましくありません。
ただ、一方で、私たちの生活への影響は大きく、想像以上の不便が予想されます。
コンビニ、スーパーへの買い物、パン屋さん、薬局、ドラッグストアーとにかくどこへ行くにもエコバック、マイバック、なんでもいいから袋をもって歩く生活が始まります。
一番身近なコンビニに行く場合を考えても、万引き防止の観点から、一度、買い物かごに入れて買い物をして、レジで精算してから、自分のバックに入れて出なければなりません。
それに、加えレジ袋は防水効果もしっかりしていたんで、水が滴ることがなかったのですが、必要な時は、購入しなければなりません。
そのほか、それぞれの生活でレジ袋有料化の義務化で、身の回りにレジ袋がないと困る場面がかなりあります。
たとえば、最近はペットの犬を飼っている人がかなりいますが、大抵のかたは、レジ袋を再利用し、犬の散歩のとき糞の処理にレジ袋を利用し糞を入れます。レジ袋は、しっかり有効活用されている例です。
なぜ、ここまでやる必要があるのか、おかしくない?という率直な感情も湧いてきます。
ここで、コンビニエンスストアにおける消費事情をテーマに行った、全国の20~30代女性1,625名を対象にリサーチした結果を紹介します。
コンビニでエコ施策を行ってほしいと思うか聞いたところ、「もっと積極的に行ってほしい」という意見が83%にのぼった。「必要ない」という意見は17%だった。
コンビニのレジ袋有料化については、「環境問題の対策になる」(31%)と支持する回答が1位となったが、「レジ袋にお金を払いたくない」(29%)、「気軽に買い物しづらくなる」(24%)といったネガティブな意見も多く見られた。コンビニでの紙ストロー導入については、「賛成」が78%だった。
ミュゼプラチナム(東京都渋谷区)のアンケート調査結果引用
こちらは、女性だけを対象にしたアンケートですが、エコに対する意識はかなり高く反面コンビニのレジ袋有料化には、納得できていない様子がうかがえます。
レジ袋有料化の義務化がされるその効果に疑問の声、反対意見は
レジ袋有料化の義務化がされるその効果に疑問の声、反対意見として、私たちの受けるレジ袋有料化の義務化に生活上の不便、不自由に比べ、その効果がそれほどあるのかという疑問です。
レジ袋は、プラスチックでできているので、その使用料を減らすことは、地球温暖化防止、ゴミの削減、街のクリーン化と一見効果的でいいことばかりに思え、「レジ袋を使うことは悪い」という印象まで与えてしまいます。
割りばしの使用問題もそうですが、多面的に考えたとき、実際はメリット、デメリットがあります。そのうえで、レジ袋有料化は唐突な話で、その議論がされていなく、国民的合意がいまだ得られていないのではないでしょうか。
実際面で見ても単に商品を入れる用途だけ得なく、様々な再利用をされ、レジ袋が傷んだころに、ゴミ箱に廃棄される使用の仕方が、一般的です。
例えば、先いほど紹介した、犬の糞とか、家庭の生ごみはそのまま捨てずに、レジ袋に入れます。防止効果、密閉効果が高いからです。
もう、一つレジ袋の再利用の例では、トイレの便器の掃除にも、トイレ用のたわしでは、満遍なく便器の中を掃除するのが難しいのですが、いらなくなったレジ袋を手にはめて掃除すれば、手の指も使えるので便器内の狭いところまで綺麗に掃除でき、使用後はゴミ箱に捨てられます。
レジ袋も工夫次第で、再利用ができます。そしてちょうど1回~3回ほど使うと傷んで寿命になります。ですが、あとで詳しく説明しますが、元が貴重なポリエステルではなく、ポリエチレンなので、十分有効活用していると言えるでしょう。
そして、その生ごみと一緒に捨てられたレジ袋は、各自治体での焼却段階では、元が石油からできているレジ袋は、焼却炉の燃焼を助けてくれます。
一般にごみ処理では、ゴミ事態では燃焼力が弱いため重油を入れて燃やします。レジ袋がゴミに混ざらなくなった分、一般家庭の生活ごみは、燃えにくくなり、従来より重油を多く使う必要が出ます。
レジ袋を削減して、不自由な生活を強いられ、結果は、あまり二酸化炭素削減効果がなかった。という、結果もありえます。
また、「レジ袋は、使うことは悪い」という意識で、店舗では、実際の製造コストよりはるかに高い値段で販売されることも想定されます。実際今でも一枚5円で販売しているところが出ています。レジ袋の価格は実際はそんなに、高くありません。
また、レジ袋の原料面からも考える必要があります。レジ袋はポリエチレンを使用します。一方今後レジ袋有料化の義務化が本格化すれば、それに代わりマイバックエコバックが大量に使われます。
こちらは、ポリエステルです。このポリエステルは、用途性が高く、私たちの身の回りの多くのプラスチック製品に使われています。
そして、レジ袋の原料のポリエチレンも、マイバック、エコバックの原料のポリエステルももとは、石油を精製して、取り出す「ナフサ」から作られます。
石油は、精製により、ガソリン、ナフサ、軽油、灯油、重油、タール、アスファルトと分溜されて生き無駄なく使うににはそのバランスが重要です。
このバランスは、価格という調節弁が働きだぶついた成分は安くなり何とかうまくいきますが、今回の国の大きな介在は、このバランスを崩すことにもなりかねません。
実際、以前は、ナフサから作られるポリエステルは用途があり多くの需要があったとき、ポリエチレンは、需要がなく化学工場では燃やしていました。
その後、ポリエチレンを使って、レジ袋のような優れたものを作れるようになりました。
レジ袋は、グラム数にすると極軽量で石油をほとんど使用せず、丈夫で便利な優れものです。一方、マイバックエコバックは、レジ袋の何百倍もの石油を使います。
それでもやがて傷んだり古くなったりして捨てられます。コンビニ袋は、石油をほとんど使わず場合によっては複数回使用されて捨てられます。しかも、従来は使い道のほとんどなく燃やされていたポリエチレンが原料です。
今回の反対意見でも、「こんなに便利なものを強制的に規制する」ことに対する不満は大きいでしょう。
もう少し、このような意見に対し、レジ袋有料化の義務化効果がそれでも大きいのなら、その効果の点について、データに基づく説明があってもいいのではないかと考えるのがとうぜんではないでしょうか。
レジ袋有料化の義務化がされ、企業の対応の様子は。
企業でも今回のレジ袋有料化の義務化を受け、それぞれ対応を発表してきている。
例えば、すかいらーくホールディングス(東京都武蔵野市)では、ガストをはじめグループう店舗で、テイクアウトのレジ袋に、石油由来からバイオマスプラスチックに変更することを発表しました。
新たに導入するのは、サトウキビの絞りカスに由来する原料から作られたバイオマスプラスチック のレジ袋です。
石油由来からバイオマスプラスチック100%に変更することで、CO2 排出量を約180トン/年、約 60%削減することができるとしています。
さらに2020年2月には、テイクアウトと宅配用のカトラリー(スプーンやフォーク)を バイオマスプラスチックに切り替えるほか、同年半ばには弁当容器も環境に優しい素材への転換を検討中とあります。
ユニクロでは、ユニクロ、ジーユーの全店舗および全世界のコントワー・デ・コトニエ、プリンセス タム・タム店舗でオリジナルのエコバッグを販売する。
エコバッグの利用促進のため、日本国内のユニクロとジーユーでは、2020年1月14日から全店舗でショッピングバッグを有料化、1枚一律10円(税抜)で販売。欧州、北米、韓国など海外16カ国・地域のユニクロとジーユーでも、2019年9月以降それぞれショッピングバッグを有料化すると発表。
自動車用品のオートバックスでも2020年4月以降は以降はレジ袋を有料化し、希望する顧客にはリユース可能なレジ袋(耐久性を強化して繰り返し使用できる袋)を販売する。
また、レジ袋以外にもタイヤ袋についても無料配布中止を段階的に実施することを検討している。将来的には、このタイヤ袋もレジ袋と同様にリユース可能な袋を販売し、より環境に配慮した店を目指すと発表しています。
一方レジ袋の製造開発では、凸版印刷(東京都千代田区)とGSIクレオス(同)は12月4日、地中に埋めると微生物によって水と二酸化炭素に分解され、廃棄物発生を抑制する効果が期待されている生分解性プラスチックを用いたレジ袋を開発したと発表しました。
そして、凸版印刷では、生分解性プラスチック製品を販売品目に追加し、12月よりレジ袋やごみ袋、日用品を中心とする製品などの販売を開始するとしている。
今後、自然に優しいバイオマスプラスチックなどを使った環境保護効果の優れたレジ袋を安い値段で、私たちが利用できるように、レジ袋メーカーも頑張ってもらいたいと思います。
まとめ
今回は、「レジ袋有料化の義務化がされるが効果に疑問の声も!どんな反対意見があるのか」というテーマでレジ袋有料化に対する疑問の声、反対の声があるなか、ゴミ袋有料化の不合理な点なども織り込んでお伝えしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
なお、関連記事もよろしければお読みください。
「セイコーマート、レジ袋無料継続の背景に消費者不満の声か?」
「レジ袋有料化が義務化の原因目的はプラゴミ削減【年間800万t海洋プラゴミ問題】」