2020年3月3日年金改革法案を政府が閣議決定しました。
その結果高齢者が働く期間を延ばして年金の受給開始を75歳まで遅らせることで
年金額を増やすことが可能になり、75歳まで遅らせれば年84%増額されます。
また60~64歳で働きながら年金を受給した場合の「在職老齢年金」の基準を緩和して高齢者が働いても年金が大きく減らないようにする改正を行い2022年4月から実施予定です。これは、老後の生活を高齢者自身にゆだねる「高齢者自助」の考えです。改正点としては大きく3点になります。
目次
年金繰り下げ受給、75歳から受給2022年から
高齢者の年金受給開始年齢は原則65歳です。
この年齢から医療や介護も含めた社会保険制度で支えられる側に入ります。
今回の年金改革法案では、その年齢を遅らせ、高齢者者が自ら自助していく考えです。
改正点は大きく3つになります。
年金受給開始年齢を75歳まで延長
これは、年金受け取り開始年齢を1か月伸ばす毎に受給額を年0,7%増やす制度
75歳まで遅らせれば年84%増額されます。
「在職老齢年金」の基準を緩和
今は60歳~64歳で賃金と年金の合計額が月28万円を超えると、年金が減らされています。
その減額基準を月28万円から47万円に引き上げます。
厚生年金に加入する条件の緩和
厚生年金に加入できる条件のハードルを引き下げます。
高齢者や女性は短時間勤務も多い現状を鑑みて、厚生年金の加入要件の一つである
従業員数の基準を現行の「501人以上」から段階的に引き下げ2024年10月には
「51人以上」にします。
2020年3月3日年金改革法案の全体像
今後少子高齢化で、年金支給額自体は、経済が順調にいったとしても、給付水準は今より
2割は下げる必要があります。
そこで、その目減り分を受給時期を繰り下げることで給付水準を上げることが出来ます。
例えば、75歳まで働いて年金受給を始めれば、現役時代と同水準の年金を受け取れます。
また、個人型確定拠出年金(イデコ)の加入年齢も現行60歳未満から65歳未満まで
伸ばし公私一体の年金改革で高齢者の自助を促す方針です。
抜本改革は避けた今回の改革
年金財政的ひっ迫はかなり深刻で、従来国民年金は、自営業者や農家などが主体だったが、今は、フリーターや非正規社員などの加入者が多い。
将来都市部で貧困高齢者が急増する恐れもあります。
この国民年金を救済するため厚生年金による国民年金の救済統合という意見も以前から持ち上がっていました。
これは、保険料を多く負担してきた企業と会社員への付け回しになってしまいます。
それ以上に守りたいのが公務員の年金です。
年金制度一本化や受給年齢引き上げなどの大改革は、今後に見送られた形です。
まとめ
今回は、「年金繰り下げ75歳から受給2022年から【高齢者自助】」というテーマでお送りしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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