黒字リストラとは何か?黒字リストラで、今、業績好調の企業がリストラ目的で早期退職者を急拡大して募っています。その理由を挙げ、さらに日立のリストラをみて、これからの時代を生き抜くコツを探ります。
目次
黒字リストラとは何か?
黒字リストラとは何か?でについてです。
従来企業がリストラ目的で早期退職者を募るのは、企業の業績が振るわないときや、その企業の扱っている商品やサービスの売り上げ規模の将来性が悪化するときでした。
ですが、ここ数年とりわけ、2018、2019年そして今年以降も、業績が好調の企業が
リストラを行っていきます。
これが黒字リストラです。
黒字リストラとは、業績が好調なのにリストラをする企業の行為をいいます。
今世の中で、「どうして、黒字なのに、おかしい」など不審に思う声があがっています。
ですが、実は、するべくしてしている必然的な企業の戦略が「黒字リストラ」です。
黒字リストラは今なぜ急拡大?「黒字リストラ」の現状の様子
黒字リストラは今なぜ急拡大しているのでしょう。
まずは現状の様子です。
黒字リストラ拡大しています。黒字リストラの拡大規模は昨年2019年は2018年の3倍もありました。
具体的には、上場企業が2019年に募集した早期希望退職者は35社計1万1千人ののぼるという東京商工リサーチの調査がでました。
これは、2018年の企業数、人員とも3倍になります。
この対象各社の57%にあたる20社が業績好調であったということです。
この黒字で業績好調の20社での削減人数は約9100人で全体の8割になっています。
とりわけ、象徴的なのが製薬会社の黒字リストラです。
例えば例をあげますとアステラス製薬2019年の純利益が35%増えていて最終利益2222億円でのに約700人が早期退職しています。
これを見ても、ただ事ではない現象が起きていることがわかると思います。
黒字リストラは今なぜ急拡大しているのか?
では、なぜこのように業績好調の企業が急に黒字リストラに走り始めたかです。
今、日本社会を取り巻く環境が大きく変わって来ています。
そして、これから挙げる複合的要因でもはや待ったなしで、企業は次の時代に向けた改革を進めています。
黒字リストラ原因1:年功型賃金体系から能力型賃金体系への移行
日本は、年功序列型賃金体系で、戦後、経済規模を拡大してきました。
経済規模が拡大していく段階ではこの年功序列型賃金体系のメリットが際立っていました。
ですが、日本経済は急成長を遂げましたが、その後バブル崩壊後の成熟期をむかえました。
そしてこれから始まる社会構造の変化、少子高齢化による社会規模の縮小期に徐々に入っていきます。
では、市場を国外に向けて考えた時、年功序列型賃金体系の維持は企業の国際競争力で負けてしまいます。
したがって企業は中期的には年功型賃金体系から能力型賃金体系への移行は不可欠です。
黒字リストラ原因2:2025問題でもわかる日本の人口構造のひずみ
2025問題は相当深刻な問題になります。
これは主に、日本の人口構造からくるもので今から5年後の2025年には、今よりさら超高齢化社会化します。
具体的には、3人に一人が65歳以上になり、しかも出生率は昨年も予想を下回ってかなり低い水準です。
少子高齢化の急加速が止まらないのです。
今後働き手の社会的負担が増していき、企業は若手社員への給与の再配分をせまられています。
黒字リストラ原因3:デジタル化社会でのIT人材の確保
2025問題のひとつに「2025年の壁」というデジタル化社会に企業が適応しなければもはや生き残れなくなるという深刻な問題があります。
この「2025年の壁」の対策に企業は相当なコストを強いられます。
そのため、有能なIT技術者の確保や企業内にもIT化に順応できる人材が求められます。
その場合、企業内では中高年社員は重荷になります。より年齢が若いほどIT化への順応は一般的に高いからです。
黒字リストラ原因4:国の働き方改革、同一労働同一賃金制度導入は、黒字リストラを一気に加速する
国の働き方改革の目玉、「同一労働同一賃金」制度導入は、黒字リストラを一気に加速します。
今まで、日本社会は、正社員といういわば特権階級と非正規労働者という低所得階級がいました。
非正規労働者は、派遣、請負、パート、アルバイト、契約社員という形態で日本の労働者人口約6000万人の3分の一にあたる2000万人にも増えていきました。
そして、この非正規労働者の賃金を低く抑え、正社員にシフトすることで正社員の待遇を維持してきました。
ですが2020年4月から始まる同一労働同一賃金制度は、大改革ともいえる徹底した制度です。
企業は、正社員の人件費コストを下げ非正規雇用者の上乗せせざるをえません。
2018年、2019年と今年以降も予想される急激な黒字リストラの要因になっています。
黒字リストラの早期退職は今後も増える
黒字リストラの早期退職は今後も増えると見たほうが良さそうです。
先にあげた昨年の製薬会社の黒字リストラが象徴的に今回の黒字リストラの原因を表しています。
製薬会社は、ことしも、高額給与番付の上位にランキングされるほど給与水準がもともと高く、平均年収が1500万円にもなるところもあります。
例え早期退職者に3000万や5000万円上乗せしてもやめてもらったほうが企業は助かるわけです。
来るべきIT化社会ではもはや40代、50代は役割を終えたと考える企業も少なくありません。
今回の、急激な黒字リストラの要因が、先に挙げた社会構造や、雇用改革にあるのです。
ですからもはや、この流れは止められません。
したがって今後も黒字リストラの早期退職は増え続けると見たほうがいいと思います。
黒字リストラ、日立の例
電機大手・日立製作所の黒字リストラの例は決して他人事ではありません。
日立の管理職の主任技師(50代、男性)に対し複数回にわたり退職強要が行われていた問題が話題になりました。
日立は巨額の黒字をあげながら2015年、2016年の2年間で6000人の人員削減計画を進めていました。
主任技師の男性は、複数回の面談で、「あなたに与える仕事はない」と退職強要を受けました。
また、雇用延長でもわずかな日数の仕事しかないといわれ、退職に追い込まれる人が出ていました。
この問題が注目され、 日本共産党の田村智子議員が参院予算委員会で追及し、安倍晋三首相は「自由な意思決定が妨げられる状況での退職勧奨は許されない」と答弁しています。
この日立の強引な黒字リストラは他人事ではありません。
この日立の黒字リストラの事件を「他山の石」とし、意識変革をしていかなければ
この変動の激しい社会では生き残ることは難しい現実を示しています。
黒字リストラ時代を生き抜くためには、企業内で「自分の店」を持つこと。
今後、企業内で、中高年の社員を中心に、あるいは場合によっては30代の社員にも、今までとは違う意識改革が必要になります。
黒字リストラは回避できた、正社員も、従来のように会社に居続ければ50歳になれば当たり前に50万円のの給料をもらえる時代は終わります。
日本は、2極化現象がこの10年余りをみても顕著になってきました。
これからは、企業に残った正社員も、2極化の嵐が吹き荒れるでしょう。
つまり、選ばれた社員は、今以上に好待遇をうけ、下に落ちた社員はいまの待遇水準は保てなくなります。
下に落ちた社員は、企業にとっては「いつでもやめてもいい」と思われている社員です。
いつでも変わりが確保できる人材であれば、並以下の待遇でもいいわけです。
逆に言えばそこがポイントです。「いつでもやめてもいい」と思われるか、そうでないかが肝心です。
そこで、これからの企業で生き抜くには、社員でも企業内で「自分の店」を持つことをおすすめします。
この「自分の店」とは、何かというと、自分の存在価値を上げる心得のコツの例えを言っています。
店にはその店ごとの商品やサービスを置きます。
いいものであれば客がたくさん来て、例えば、あなたの店は繁盛します。
ですから、企業内において、あなたがどれだけあなたの店でいい商品を置けるかということです。
この考えは、自営業者や商売をやっている人には当たり前の話です。
自営業者や商売やっている人は、生きるために、日々商品価値を上げるために工夫したり、時には売れている他店を見に行って、自店の足りない所は改善したりします。
当たり前にします。
これからは、企業の社員も「自分の店」を企業内に持つ覚悟で、常に自分の店の商品価値を上げ続ける必要があります。
そのため、日々勉強をして、情報を集め、いかにあなたの企業の利益を生み出す貢献ができるかです。
学習もやめた人は、企業内では「死」を意味します。いきながら死んだ状態です。
学習をやめた人間は、今、年収がいくらであろうと今の肩書がなんであろうと、将来性はありません。
今の年収、肩書は、ひょっとしたら、本当のあなたの価値と同じではないと、まずは自問することから始まりと思います。
2極化社会の上に這い上がるか、下に落ちるか考えようによっては、面白い社会になりました。
まちがっても、「ゆでかえる」のようにならないように、すぐに準備を始めることが大事だと思います。
まとめ
今回は、「黒字リストラとは、なぜ今黒字企業が早期退職を拡大するのか。今後生き抜くコツとは!」をテーマに急速に拡大する黒字リストラの流れに、いかに早急に対応するかが大事であるという内容でお送りしてきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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